研究課題/領域番号 |
20K02394
|
研究機関 | 大妻女子大学 |
研究代表者 |
大橋 寿美子 大妻女子大学, 社会情報学部, 教授 (40418984)
|
研究分担者 |
志村 結美 山梨大学, 大学院総合研究部, 教授 (00403767)
松本 暢子 大妻女子大学, 社会情報学部, 教授 (90183954)
|
研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
|
キーワード | コレクティブハウス / 子育て世帯 / 共働き / コモンミール / 多世代型 |
研究実績の概要 |
本研究は、コレクティブハウス(以下CH)の子育て・子育ちの住まいとしての有効性の検証と課題を明らかにし、子育て・子育ちに対応したCHの提案を行うことを目的とした研究である。2年度目である今年度は、日本のCHでの子育て・子育ちの実態を把握するために、日本のセルフワークによる3ハウスの多世代型CHに暮らす子育て期の大人の居住者を対象として、アンケート・ヒアリング調査を実施し、以下の知見を得た。 ・子育て期の人は全員が共働き(シングルマザーで仕事あり含む)である。また子どもの年齢は、未就学児と小学生が各4割弱で年齢が高い子どもは少なく、子どもの年齢が上がると住戸面積の不足から退居する傾向が明らかとなった。 ・入居動機には、子育ちへの良い影響、多世代の中で子育て、協働での調理・食事のコモンミール(以下CM)などが主なものであった。 ・居住者間の交流実態は、大人も子どもも日常的な会話がある事、また半数近くが子ども同士でいつも一緒に遊びや勉強したり、親しくしている大人がいた事から、家族を超えた日常的なコミュニティの形成が明らかになった。さらにCMが子どもにとっても最も交流を促す場となっている事がわかった。 ・入居後の評価は、CMに対する評価が最も高く、次いで多世代での子育てが評価されていた。仕事で忙しい時にCMで他の居住者が子どもと一緒に食事をしてくれる事や経験者への子育て相談など、安心感がある住まいとしてCHでの子育てを評価する声が聞かれた。また共用空間も高く評価し、自由に安心して使える場として子どもにも認識され、子どもたちの居場所になっていることが明らかになった。さらに入居後の子どもの変化として、おとなしい子どもが他の子どもと積極的に遊んだり、自分から大人に声をかけるなどの変化がみられた。 以上のことから、コレクティブハウスは概ね子育て期の世帯にとって有効な住まいであることが確認された。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
コロナ禍のため、スウェーデンの調査については、進めることはできていないが、日本の事例調査について順調に実施しており、3事例のセルフワーク型のコレクティブハウスに居住する子育て期の家族を対象に調査を行うことができた。ヒアリング調査は、回答者の希望に応じて対面やオンラインでのヒアリング調査を適時実施してした。コロナ禍でのコレクティブハウスでの子育ての実態についても、既に調査を実施済みである。
|
今後の研究の推進方策 |
最終年度である次年度は、以下の3点に取り組む予定である。 ①コロナ禍でのコレクティブハウスでの子育ての実態調査結果を分析しまとめる。 ②子育て期にとって求められるコレクティブハウスの空間、運営について提案する。 ③調査結果を論文として投稿予定である。
|
次年度使用額が生じた理由 |
旅費がほぼ未使用である。その理由は、コロナ禍のため研究分担者と対面での打ち合わせを実施しなかったため旅費を使用しなかったこと、また複数の学会大会のための旅費を計画していたがいずれもオンラインで行われたこと、さらに遠方への事例調査を計画していたが実施できなかったためである。なお感染状況が落ち着いたら、次年度には対面での打ち合わせおよび遠方への事例調査を行い使用したいと考えている。 また、人件費・謝金も未使用である。謝金についても、コロナ禍で訪問調査が少なく謝金を使用しなかったが、次年度の遠方への調査の際に使用する予定である。人件費については、次年度にまとめてデータ整理に使用する予定である。
|