研究課題/領域番号 |
20K02404
|
研究機関 | お茶の水女子大学 |
研究代表者 |
佐藤 瑶子 お茶の水女子大学, 基幹研究院, 助教 (80725185)
|
研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
|
キーワード | 煮物 / シミュレーション / 拡散係数 / ダイコン / 調味 |
研究実績の概要 |
調理品を適度な味付けの状態に仕上げるためには、食材への味のしみ込み方を理解する必要がある。一般的に拡散物質の分子量が大きいほど拡散係数は小さく、拡散しにくいと言われているものの、分子量と食材中の拡散係数の関係を調べた研究はみられない。そこで、昨年度は有機酸系およびアミノ酸系の成分のダイコン中の拡散係数を測定したところ、いずれも分子量が大きいほど拡散係数は小さくなるが、分子量が同程度の場合にはアミノ酸系成分の拡散係数が小さい傾向にあることを見出した。そこで本年度はこの現象がダイコン中に特徴的であるかと確認するため、DOSY(Diffusion-ordered NMR spectroscopy)法により水溶液中の拡散係数を測定した。その結果、水溶液中の拡散係数は分子量が大きいほど拡散係数は小さくなり、分子量が同程度の場合にはアミノ酸系成分と有機酸系成分の拡散係数は同程度であることを確認した。 さらに本年度は無機塩とアミノ酸系成分の混合液に浸漬した際のダイコン中の拡散係数を測定した。その結果グルタミン酸一ナトリウムとNaClを混合した場合に、単独溶液に浸漬した場合に比べて両者のダイコン中の拡散係数は大きくなったが、水溶液中ではその傾向は認められなかった。以上の結果より、ダイコン中ではアミノ酸系成分が拡散しにくい一方でグルタミン酸一ナトリウムとNaClを混合することで互いに拡散を促進し、これらの現象はダイコン組織との何らかの相互作用によって引き起こされることが示唆された。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は溶液中での拡散係数の測定および混合溶液中に浸漬時のダイコン中の拡散係数を測定予定であり、これらが終了したため概ね計画通りに進展していると考える。
|
今後の研究の推進方策 |
次年度は有機酸、アミノ酸系以外の成分についてダイコン中の拡散係数を測定するとともに、得られた拡散係数を用いてダイコン中の各成分の濃度変化をシミュレーションし、拡散過程を視覚的・数量的に示すことを試みる。
|