本研究の目的は,加熱野菜のおいしさが変化するメカニズムを解明し,クックチルシステムや真空調理法にそのメカニズムを展開することである。本研究の結果,加熱野菜の保存過程において,ペクチンの可溶化やテクスチャー変化が生じていることが明らかとなり,また,野菜へ浸透するNa量を減少させることや,野菜からのペクチンの溶出を抑制することで,加熱後の状態を維持できることが示唆された。本研究は,給食施設等のみでなく,家庭においても加熱調理後に保存した料理を食する機会が多くなっている中で,加熱野菜のおいしさの変化要因を構造変化から明らかとしたものであり,応用可能な調理科学研究である。
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