研究課題/領域番号 |
20K02409
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研究機関 | 福岡女子大学 |
研究代表者 |
庄山 茂子 福岡女子大学, 国際文理学部, 教授 (40259700)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 高視認性安全服 / 色彩 / 視認性 / 建設機械 / 作業服 / 安全性 |
研究実績の概要 |
建設業界における死亡事故は毎年発生し、防災や減災の対策を講じることは急務である。安全確認を徹底するために安全色の規格改正や安全服の着用が推進されてきた。しかし、建設機械と安全服には同系の色が用いられ迷彩的な色彩環境となっているため、作業現場において作業者が視認され難くなっていることが考えられる。そこで、建設現場において視認性の高まる安全服(ベスト)と作業服と建設機械の色彩の組み合わせを検討した。 建設現場の画像に作業者が着用する作業服3 色(水色 10B 7/6、ベージュ 10YR 8/3、黒N1.5)と安全服(ベスト)8色と機械色8色を組み合わせた192 パターンをPhotoshop CCで編集した。8色(赤、黄赤、黄、緑、青、赤紫、白、黒)は JIS 安全色の規格に定められたマンセル値を用いた。女子学生にパソコンモニター上のサンプルを見て作業者の目立ちの度合いについて9 段階で回答を求めた。 その結果、(1)作業者の視認性には、安全服(ベスト)が緑、赤紫、黒の場合に機械色と作業服の色との交互作用がみられ、ベージュと水色の作業服の視認性は黒の作業服より高かった。視認性は、機械色が安全服(ベスト)と同一あるいは隣接色相の場合と作業服と機械色が同一色相の場合に低かった。(2)交互作用のみられなかった安全服(ベスト)赤、黄赤、黄、青、白では、作業服がベージュと黒の場合に機械色の8色間に視認性の違いはみられなかった。すべての機械色において、視認性の評価が高かったのは総じて水色の作業服であった。機械色青を除くと安全服(ベスト)赤と黄赤に対して作業服水色において、視認性の評価は高かった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
建設現場における視認性の評価実験を、画像処理ソフトを用いてシミュレーション画像を作成して実施した。機械色、作業服、安全服の様々な色の組み合わせに対する評価実験を実際の工事現場において実施する予定であったが、事故対策や感染対策の必要性から実験室内での被験者実験とした。実際の工事現場と同じ視環境が再現できたと考えている。
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今後の研究の推進方策 |
2020年度は、工事現場の作業者の安全という視点から視認性について若齢者を対象に評価実験を行った。しかし、高齢になると視力の低下だけでなく水晶体の白濁や黄変化が起こり、高齢者は若齢者とは異なる見え方をすることが考えられる。そのため、同様の評価実験を高齢者を対象に行う。 また、近年、交通事故件数は減少傾向にあるが、特に薄暮時間帯や夜間、雨天時において多発している。これは前方の視界が悪く、歩行者を視認し辛くなることが原因とされ、視認性を高める反射材は事故防止に有効と考えられる。そこで、反射材用品に着目し、歩行者と運転者の立場からヒヤリハット経験の有無や反射材用品の活用実態を調査し問題点や課題を明らかにし、反射材普及に必要な対策を考察する。
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度使用額が生じた理由は、事故対策や感染対策の必要性から、実際の工事現場で視認性の評価実験が実施できなかったためである。 次年度は、現場に行かなくても体感できるような様々な機器を活用して研究を進める予定である。
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