研究課題/領域番号 |
20K02411
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研究機関 | 酪農学園大学 |
研究代表者 |
舩津 保浩 酪農学園大学, 農食環境学群, 教授 (90382481)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 発酵調味料 / 消費者 / 嗜好 / 品質特性 / 可視化 / 抗酸化 / 定量的記述分析法 |
研究実績の概要 |
今年度は発酵調味料である北海道産魚醤油製品(12検体)の定量的記述分析法 (QDA法)による官能評価を行った。官能評価パネルは5味識別テストに合格し、嗅覚測定用基準臭の識別ができた人を選定した。パネルは甘味、塩味、酸味、苦味、うま味、コク味を示す物質の濃度を変えて添加した魚醤油を用いて識別の訓練を行った。匂いは魚臭さ、焦げ臭、アルコール臭、燻製様香、カラメル香、たくあん臭、醤油香、油焼け臭、酸臭、腐ったバター様臭を示す標準物質を蒸留水に溶解した溶液と魚醤油に溶解した溶液で濃度を変えてスニッフィングによる識別の訓練を行った。また、パネルは魚醤油試料の匂いを嗅いだ後、記述用語の討論を行い、みりん様の甘い香りと磯の臭いを追加し、18種類の属性を決定した。 上記の訓練を行ったパネル12名(男性:7名、女性:5名、平均年齢:21.6歳)で蒸留水を用いて10倍希釈した12検体の魚醤油の評価を実施した。評価は線尺度法を用いた。パネルは1度に4検体の魚醤油を評価し、3セット実施した(4検体×3セット=12検体)。測定は3度繰り返した。得られたデータはFIZZ Lab/Nomad ver.2.7を用いて統計解析を行った。分散分析の結果、みりん様の甘い香り、腐ったバター様臭、酸臭を除く15種類の属性で試料間に有意差が認められた。クラスター分析から12検体は3つのグループに大別された。主成分バイプロット図 (PC1 vs. PC2) からグループ1(2検体:磯の臭い・酸味)、グループ2(4検体:カラメル香・酸味・醤油香・みりん様の甘い香り)、グループ3(6検体:燻製様香・コク味・塩味・甘味・たくあん臭・魚臭さ・焦げ臭・油焼け臭) に特徴がみられた。これらの官能的特質の違いは主原料と発酵法の違いに起因すると考えられた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
今年度は魚醤油製品(12検体)の定量的記述分析法 (QDA法)による官能評価を行った。しかし、全国的な新型コロナウイルスの感染拡大に伴い官能評価パネルの選定だけでなく、訓練の実施も大幅に遅延した。また、訓練中にコロナに感染し、従来の味覚に戻らないパネルも現れた。そのため新型コロナウイルス感染症が5類に移行する次年度に消費者の嗜好性評価の調査を延期した。
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今後の研究の推進方策 |
主原料や発酵法に違いによる製品の品質の違いを明らかにするため成分分析(オリゴペプチド態アミノ酸やメラノイジン等の分析)の追跡調査を行う。QDA法により決定した評価項目を基に9段階のカテゴリー尺度法で評価したデータから消費者の好き嫌いに関する情報を得る。得られたデータより主成分およびPLSプリファレンスマップを作成し、製品の品質特性が地域の消費者のニーズとどのように対応しているかを明らかにする。年齢、性別については官能評価の実施場所などを考慮し、極端な偏りのないように実施する。地域間の違いについてはコロナの感染状況などを考慮して実施する。
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次年度使用額が生じた理由 |
令和4年度は新型コロナウイルス感染拡大のため当初予定していた消費者の嗜好性調査ができなかった。そのため研究延長を申請し、成分特性の追加調査(オリゴペプチド態アミノ酸やメラノイジン等の分析)や消費者の嗜好性調査を令和5年度に行う予定である。また、次年度使用額については、令和5年度の請求額と合わせ、主に物品費(試薬・消耗品費等)、人件費・謝金(アルバイト料等)、その他(官能評価ソフトウエアの更新費、施設使用料、レンタカー代等)に使用する予定である。
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