研究課題/領域番号 |
20K02414
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研究機関 | 東京家政学院大学 |
研究代表者 |
小野 由美子 東京家政学院大学, 現代生活学部, 准教授 (90727629)
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研究分担者 |
柿野 成美 公益財団法人消費者教育支援センター, 事業部門, 首席主任研究員 (50648110)
川崎 孝明 筑紫女学園大学, 人間科学部, 准教授 (20421307)
上杉 めぐみ 愛知大学, 法学部, 准教授 (30583520)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 消費者教育 / 家庭科教育 / キャッシュレス決済 / 脆弱な消費者 / 社会福祉 |
研究実績の概要 |
本研究は、キャッシュレス決済の普及に伴い生じる諸課題を消費者の立場から整理し、その解決策として効果的な消費者教育のあり方を検討するものである。 消費者の視点からキャッシュレス決済の現状と課題を検討する本研究では、国あるいは各地域による共通点や相違点を見出し、学校教育と社会教育におけるキャッシュレス決済の取り扱いについて消費者教育の目指すべき方向性を探る。加えて、脆弱な消費者(vulnerable consumer)の存在への配慮も必要である。教育や支援が必要な消費者である高校生や若者と、高齢者や障害者などの「脆弱な消費者」がキャッシュレス化する社会で主体的な消費生活を送ることができる消費者政策や消費者教育の成果と課題も検討する。 キャッシュレス決済が主流となるキャッシュレス経済では現金のような物理的な支払い手段がなくなるため、特に子どもに対する教育は工夫が必要となることが指摘され、ライフプランやマネープランの学習の重要性が提唱されている。本年度は、高校生を対象にしたキャッシュレス決済の現状と意識に関する質問紙調査を実施する予定であったが、新型コロナウイルスの感染拡大によって高校における家庭科の通常授業に影響が出た結果、調査の実施も困難な状況が続いた。このことから次年度の調査実施に向けて、研究代表者および研究分担者による先行調査を活かした形での調査項目の検討を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
学習指導要領が改定され、高校では2022年度から新しい内容で作成された教科書を用いて授業が実施される。今日の状況にあった消費者教育が実施されるためには、消費者教育の「受け手」である高校生の動向を検討することは極めて重要である。成年年齢の引下げに伴い契約主体者になることを18歳で求められることになる若者が、キャッシュレス社会における消費生活トラブルの未然防止と早期解決ができるための知見を探ることの意義は大きい。 さらに、消費者教育の「受け手」の状況を把握するとともに、消費者教育の「担い手」である行政や団体、教員、専門家の検討も重要となる。来年度は、担い手を対象にしたヒアリング調査を、北海道・東北、関東、中部、関西、四国・中国、九州・沖縄の地域ブロックごとに調査対象者を選定した上で半構造化インタビューをスタートさせる予定であったが、新型コロナウイルス感染拡大防止のため出張という形態での活動を自粛し、次年度以降にオンラインでのインタビュー調査に一部を切り替えるなどして実施することにした。
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今後の研究の推進方策 |
学校教育における消費者教育の「受け手」と「担い手」の調査に加えて、諸外国における施策や取り組みに特徴のある諸外国におけるヒアリング調査等を予定していたが、本年度は海外渡航が難しく実施できなかった。政府機関や交通機関での非現金決済を推進しているシンガポールや、店頭で現金の支払を拒否できる事を法的に担保しているスウェーデンなど、キャッシュレス決済の比率が高く、施策に特徴のある国を選定して関連団体や専門家に半構造化インタビューを実施するため、関連する消費者教育教材を収集・翻訳して準備を進めているところである。次年度以降に、高校生調査や、消費者教育の「担い手」に関わる調査などを踏まえて関連学会で研究発表をする。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルスの感染拡大による高校生を対象にした質問紙調査および消費者教育に関わる行政や団体、専門家へのヒアリング調査の実施を延期したため。次年度以降に、施策や取り組みに特徴のある諸外国におけるヒアリング調査等もあわせて実施する予定である。
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