ポリ乳酸繊維100%組成の織物(以下PLA100)は、熱に対する耐性が低いため、アイロンがけには注意を要する。衣類としてポリ乳酸繊維を用いるには、アイロンが不要な編地にすることで汎用性が高まると思われる。または他の繊維と混紡し、強度低下の抑制なども期待できる。そこで、綿70%とポリ乳酸30%の編地(天竺)(以下PLA30/C70と略記)に対するバイカリン/ラッカーゼ溶液の染色性、堅ろう性、風合いを調べた。 PLA30/C70をバイカリン/ラッカーゼ水溶液(pH4.5)を用いて、浴比1:100、75℃、6時間染色し、染色布の表面反射率を測定し、みかけの表面色濃度K/Sを求めた。PLA30/C70のK/S曲線はPLA100のそれとほぼ同じとなり、同程度の濃さに染まっていた。バイカリン色素は、直接染料のようにリニアな構造ではないため、セルロース高分子に対する親和性は低く、染色性は低下すると懸念されたが、染色温度が75℃であったことから、綿繊維内部へバイカリンが拡散することが可能となり、綿の混紡率が高くてもPLA100%と同程度の表面色濃度が得られたのではないかと思われる。 バイカリン/ラッカーゼで染色したPLA30/C70の洗濯堅ろう性を調べた。その結果、PLA30/C70の変退色は3-4級を示し、PLA100の洗濯堅ろう性(変退色)1-2級に比べ、良好となった。綿繊維を混紡することで洗濯堅ろう性が改善されることがわかった。 染色後のPLA30/C70の風合いを調べた。編地であるため、圧縮特性と表面摩擦についてのみとした。その結果、PLA30/C70 (編地)は未処理に比べ圧縮変形からの回復性が若干低下していた。染色によって編地の良さが若干減少することがわかった。
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