研究課題
基盤研究(C)
現代ドイツ教育哲学における「人間形成論的に方向づけられたビオグラフィ研究」の前提となる人間形成概念に関して、(1)人間形成概念の規範性、(2)経験的現実との整合性という2点について、理論的検討を行うと同時に、ナラティヴ・インタビューの分析と照合させながら検討した。(1)に関しては、「批判的反省性」が重要な条件のひとつとなることを明らかにした。(2)に関しては、インタビューにおける語りの社会的、言説的条件を解明することで、人間形成概念と経験的現実との架橋が可能になることを明らかにした。
教育哲学
本研究の学術的意義として、人間形成概念の規範性の条件のひとつを明らかにできたことが挙げられる。また、人間形成の社会的、言説的条件の解明に社会学的概念を援用する場合の留意点と課題を明らかにできたことが挙げられる。本研究の社会的意義として、自己や世界に対して批判的、反省的に関わりつつ自己を形成していく過程として人間形成を捉える視点を提示できたこと、また同時に、いわゆる汎用的能力の獲得の際にも批判性や反省性という契機が不可欠であることを明示できたことが挙げられる。