研究課題/領域番号 |
20K02429
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
深澤 広明 広島大学, 人間社会科学研究科(教), 教授 (70165249)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 学びに向かう態度 / 学習集団 / 授業研究 / 授業分析 / 授業評価 |
研究実績の概要 |
研究テーマでもある「学びに向かう態度」を育てる授業モデルとして焦点を当てている学習集団づくりの授業研究を位置づけるための理論的なフレームワークを検討するため、全米教育学会American Educational Research Association(編集)の授業研究ハンドブックHandbook of Research on Teachingについて、その初版(1963)、第2版(1973)、第3版(1986)、第4版(2001)、第5版(2016)が、どのような枠組みで編集されてきたかを通史的に概観し検討することで、授業研究の分析と評価の枠組みの進化・拡張に関する基礎的な知見を得ることができた。その研究成果の一端については、「授業研究における分析と評価」として中国四国教育学会において共同研究として発表するとともに、そこでの協議を踏まえて学会の紀要論文としてまとめることができた。またコロナが少し落ち着いた時期に実施することのできた小学校の授業研究が、子どもの主体性が求められる複式教育の授業研究であったこともあり、子ども一人ひとりが主体的に学習に取り組むとともに子どもたち相互が集団的に学習を進展させていくことが強く求められる点で、「学びに向かう態度」の育成と評価に関する知見を深めるための基礎資料を得ることができた。さらに中学校の授業研究では、同一教材による授業を取り上げることで当該の授業に関する分析や評価を比較検討することができた。また校内研修における授業研究において提示されることになる授業分析と授業評価のフィードバック情報が教員たちにどのように受け止められるのかについて今後検証すべき仮説的な視点を得ることもできた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
文献に基づく理論的な研究は順調に進んでおり、学会発表に基づいて学会の紀要論文に掲載することができた。また、コロナで時期が当初の計画から少々ずれながらも小学校および中学校での授業研究を行うことができ、短期的な視点からの学習集団づくりのあり方や授業の分析と評価についての検討は進んだ。
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今後の研究の推進方策 |
当初に計画していた長期的な視点からの学習集団づくりの分析については、年間を通しての安定的な授業研究が必要であるが、コロナの影響も視野に入れて次年度以降に実施可能な授業研究で得た知見と今年度の授業研究で得た知見を重ね合わせて検討することで、当初の研究目的の達成に向けて研究活動を弾力的に遂行していく予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナの影響でフィールドワークでもある授業研究の計画が、当初の予定より回数が減っただけでなく、記録作成のための参加人数についても最小限の人数で対応せざるを得なくなったため次年度使用額が生じることになった。翌年度は昨年度に参加できなかった人数を補填することで、より充実した資料収集体制を整えるともに、コロナで現地に出向くことができなかった授業研究のケースについては、授業記録媒体を送付してもらったうえでのドキュメンテーションの作成等の作業費として使用する計画である。
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