研究課題/領域番号 |
20K02431
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研究機関 | 琉球大学 |
研究代表者 |
名嶋 義直 琉球大学, グローバル教育支援機構, 教授 (60359552)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 批判的談話研究 / 民主的シティズンシップ / 教材 / 新聞記事 / 地方紙 / 沖縄 / 批判的リテラシー |
研究実績の概要 |
2021年度の研究実施計画は「民主的シティズンシップ教育の有益性を明らかにする」ことであった。具体的な実績として、①2020年度までの研究成果をもとに教材の作成に着手することができた、②その教材案を大学における授業において試用した、③受講生から使用に関するフィードバックを受け教材としての完成度を高めた、④それらの試用活動についてSDGsとの関連を論じる口頭発表(海外大学主催シンポジウム、発表は2022年の5/14、録画提出方式)に申し込み採択された、⑤それらの試用活動についてオンライン授業のあり方を論じる口頭発表を行った(在エジプト国際交流基金日本文化センター主催フォーラム、オンライン)、⑤自分が民主的シティズンシップ教育の理念と方法とを取り入れて実践している授業活動をベースにしたワークショップを3回開催した(在エジプト国際交流基金日本文化センター主催フォーラムで2回、インド南アジア日本語教育フォーラムで1回、すべてオンライン)、⑥NPO団体で民主的シティズンシップ教育に関する講演とワークショップを行った、⑦民主的シティズンシップ教育に関する4回連続講座と単発フォーラムの基調講演講師を務めた(大阪の専門学校主催)、⑧他大学主催の国際フォーラムで基調講演を行った(オンライン)、⑨他大学から招聘を受け、批判的リテラシーの涵養を目的とする特別講義を行った、⑩教員免許状更新講習で民主的シティズンシップ教育に関する講義を提供した(オンライン)、などがある。幅広い領域や対象に対し、「民主的シティズンシップ教育の有益性を明らかにする」ことができたと考えられる。また、2020年度に収集した基礎的なデータを分析し論文を執筆し、編著書を刊行した。なお、以上と並行して、2021年度も新聞(全国紙、沖縄地方紙)のデータ収集とそれに関連する言語景観調査を継続して行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2020年度、2021年度と世界規模で新型コロナウイルス感染拡大が続き、当初の計画にあった海外での活動は大きく制限を受け全く実施できなかった。継続的にドイツの研究者と連絡をとっているが、渡航はできても小中学校を訪問し民主的シティズンシップ教育の現場を視察することは難しいようである。そこで2021年度は日本国内において、さまざまな対象に向けて「民主的シティズンシップ教育の有益性を明らかにする」ことを目標にして研究を行い、その成果を諸活動に反映させることを目指した。その結果、多くの講演・ワークショップ講師の機会を得ることができ、研究の世界の外に「民主的シティズンシップ教育の有益性」を発信することができた。また編著書も刊行することができたが、そのなかに収録した拙稿は全国紙と沖縄地方紙の比較を批判的談話研究の姿勢で行ったものであり、本補助事業の目的そのものである。以上のことから判断すると、個別的には達成できていない目標もあるが、総合的にはおおむね順調に進展していると考える。
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今後の研究の推進方策 |
まず基礎的なデータの収集を継続する。2022年度も新聞(全国紙、沖縄地方紙)のデータ収集とそれに関連する言語景観調査を継続して行う。ドイツに渡航しての現地視察は新型コロナウイルスの感染状況に大きく左右されるため見通しが立たないが、現地協力者と連絡を取りながら、その可能性を検討し実現に向けて取り組みたい。民主的シティズンシップ教育を広める活動としては、今年度もさまざまな領域で講演やワークショップなどを開催していきたいと考えている。民主的シティズンシップ教育の教材刊行はすでに出版プロセスに入っている。著作権処理など編集作業との兼ね合いもあるが今年度も進めていく。当初計画では2023年刊行であったが、2020年度2021年度に海外での研究調査が実施できなかった分の人的リソースやコストを教材出版に注力したため、予定よりも1年早く2022年度中に出版する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルスの世界規模での感染拡大のため、当初計画していたドイツへの渡航ができなかったため。2022年度中に渡航して調査や資料収集を行うことが可能な環境となれば、計画を実施し予算を執行する予定である。
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