研究課題/領域番号 |
20K02435
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研究機関 | 埼玉学園大学 |
研究代表者 |
吉野 剛弘 埼玉学園大学, 人間学部, 准教授 (90369893)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 受験準備教育 / 専攻科 / 補習科 / 高等学校 |
研究実績の概要 |
当初の研究計画では学校文書の収集に入るべき段階なのだが、コロナ禍が収まらないために学校に入れない状況を受けて、昨年度に引き続き以下の作業を実施した。(1)県立図書館・県公文書館における一次史料および関連史料の調査・収集。(2)研究対象についての基礎資料(県議会史・学校沿革史)および学校より刊行された各種資料の収集。 (1)について、鳥取県では県立図書館で県議会関係の資料を、島根県では文書センターで補習科設置に関わる教育委員会の会議録を、岡山県では補習科関係の基礎資料を、福岡県では公文書館で県議会関係の資料を調査・収集した。また、現地での長期の史料調査が難しい状況が続いているため、国立国会図書館で収集可能な県議会関係資料は、出張をともなわない形で収集を行った。 (2)について、(1)の進捗状況を受けて、研究の遂行に必要なものを複写、購入した。 上記の調査の結果、鳥取県、島根県、福岡県については、専攻科・補習科の設置に至る経緯に加えて、運営の実態のごく一部が明らかとなった。後は学校文書の調査を行うことで肉付けを待つのみである。 本格的な研究成果報告という段階には至っていないが、昨年度に収集した鳥取東高等学校の学校誌『柏葉』に記載された専攻科に関する情報を『月刊ニューズレター 現代の大学問題を視野に入れた教育史研究を求めて』第76号から第87号に連載し、『中等教育史研究』第28号に鳥取県の専攻科に関する史料紹介の論文を執筆した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
昨年度に引き続き、新型コロナウイルス感染症の感染拡大を受けて、地方への出張が難しい状態が続いている。図書館や公文書館のような、史資料の公開を業とするところ以外に赴くことが難しく、学校文書の調査には全く入れていない。図書館や公文書館への出張が精一杯である。 結果として、当初の予定として2年目で完了することを想定していたものがそのようになっていない状況である。
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今後の研究の推進方策 |
現段階で可能なことを粛々と行うという一点に尽きる。研究代表者の所属先が首都圏のため、国立国会図書館には赴くことは困難ではない(といっても通常時に比べれば困難である)ので、断片的な所蔵しかない側面は否めないものの可能な範囲で調査を進めていく。 研究費の残金は、現地での史料調査のための旅費が最小限にとどまっていることが最大の理由である。史料調査は、学校文書という「内堀」と、行政文書・資料などの「外堀」とを往還することを考えていたが、現今の社会情勢をふまえて、まずは「外堀」を埋めることに注力する。 また、社会情勢の変化にともない、コロナ禍前の日常を取り戻しつつある。このような状況を受けて、2022年度の夏あたりからは学校文書の調査に入りはじめるよう準備を進めておく。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルス感染症の感染拡大にともない、現地での史料調査に大幅な制約が生じていることに尽きる。史料調査が捗らないことには、複写をする機会も減るし、収集したものを整理することもないのでアルバイトの謝金も発生しないということである。 次年度に繰り越される研究費については、当初の計画通りに使用していく。史料調査は「今後の研究の推進方策」で記したように、新型コロナウイルス感染症への社会の対応に好転の兆しが見えている状況でもあるので、これまでの遅延分を挽回できるような体制を構築する。
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