研究課題/領域番号 |
20K02439
|
研究機関 | 静岡産業大学 |
研究代表者 |
佐藤 知条 静岡産業大学, スポーツ科学部, 准教授 (70586718)
|
研究分担者 |
岩田 一正 成城大学, 文芸学部, 教授 (70338573)
佐藤 英二 明治大学, 文学部, 教授 (20339534)
高井良 健一 東京経済大学, 全学共通教育センター, 教授 (50297339)
|
研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
|
キーワード | 1960年代 / 教育言説 / メディア / 46答申 / 教育史 |
研究実績の概要 |
本研究では戦後教育の第一の転換が実質的に展開する1960年代に焦点を当て、マスメディアがどのように教育に関する言説を展開させたかを記事・番組等の収集・整理・分析から描き出し、また関係者への聞き取り調査から当時の教育言説の特徴を検討することを通して1960年代の教育の転換を論じる言説の全体像を把握する。そして、その全体像を現在の教育の動向に照らしたときにいかなる歴史的意味が見いだせるのかを考察し、教育学・教育史の研究領域において1960年代を捉える新たな枠組みを提示することを目ざしている。 昨年度までの研究で新聞の全国紙や専門雑誌、公共放送等の記事・番組を中心に言説を検討し、現在に至る戦後教育史の語りから零れ落ちた観点や語られなくなった視点の存在を示して教育言説の多様性という視点で戦後教育史をとらえることの必要性と可能性を指摘し、研究成果として公開した。 今年度はこれまでの研究の蓄積をふまえつつ、ローカルメディアでの教育言説の展開に注目し、それらの分析を通して1960年代の教育言説の特徴を検討し、学会発表と学術論文で成果を公開した。そして、東京を中心とした情報の収集、再構成、伝達のシステムが確立していくマスメディアとは異なった地域独自の教育言説の展開の存在を明らかにするとともにそれらの特徴を具体的に提示し、地域性や多様性を含み込んだものとして1960年代の教育言説の展開をとらえることの重要性を指摘した。また、研究調査活動を通じて収集した資料のなかで、公共図書館等で所蔵されていないものを関係者の了承のもとでデジタル化して将来の研究利用に向けた準備を行った。さらに市民向け講座で報告することで本研究の成果の一部を社会に還元することができた(浜松市主催「第31回浜松市民アカデミー」第4回:佐藤知条「学校と地域社会~気多村・熊切村・春野町の映像から考える~」、2023年9月13日)。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究の申請時には3年間の研究期間を通して1960年代におけるマスメディアの教育言説の全体像を理解するための基礎的な資料を作成することを目ざした。しかし、covid-19の流行拡大に伴い、遠隔地への出張を伴う資料収集・聞き取り調査が計画通りに進められなかった。2023年度になって研究活動が計画通り進められるようになり、研究成果の発表、報告も行い遅れを取り戻したものの、研究成果の取りまとめにまで至ることができなかった。この点が課題として残ったため、「やや遅れている」とした。
|
今後の研究の推進方策 |
これまでの研究において、研究者ごとに検討してきた1960年代の教育言説の展開をとりまとめ、全体像として提示するとともに現在の教育の動向に照らしてその歴史的意味を考察することに努める。
|
次年度使用額が生じた理由 |
covid-19の感染拡大を受け、2022年度までの2年間は出張を伴う調査の実施が困難な状況だった。そのため、2年分の遅れを取り戻すべく2023~2024年度における研究計画を再設計して進めている。2024年度は研究の最終年度であり、成果のとりまとめと公開のために経費を使用する。
|