研究課題/領域番号 |
20K02445
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研究機関 | 広島文化学園大学 |
研究代表者 |
加地 信幸 広島文化学園大学, 人間健康学部, 准教授 (80806795)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 重度・重複障害児者 / アダプテッド・スポーツ / 指導者養成 / 用具開発 / 医療的ケア |
研究実績の概要 |
1年目の研究課題については、2020年9月に開催された国際学会「The 2020 Yokohama Sport Conference」で報告済である。研究報告の内容は、医療的ケアを必要とする重度・重複障害児を対象としたアダプテッド・スポーツ実践が及ぼす心理・生理的影響について明らかにすることを目的とした。測定項目は、運動の実施前後の心拍数、唾液アミラーゼ値であった。併せて運動中の様子をビデオに記録し、5つの観察項目を設定し分析した。その結果、運動後の心拍数は9名中7名が低下した。分析の結果、運動後の心拍数は有意な低下が示された。唾液アミラーゼ値については、上昇、低下、不変と一様の結果ではなかった。 2年目の研究課題については、アダプテッド・スポーツ科学に投稿し、令和3年3月31日に受理された。研究報告の内容は、研究代表者が定期的に開催している医療的ケアを必要とする重度・重複障害児を対象としたアダプテッド・スポーツ教室「はなまるキッズ」実践が、子供、およびボランティア支援者に有効であったかを検証した。結果は、子供にとって、主体的に楽しんで参加できる場となっている点に加え、意思・感情表出する力の獲得や、体力・姿勢保持力や睡眠の質の向上等に好影響を与えていた。ボランティア支援者にとって、子供との直接的な関わりの中で実践を通した支援方法や関わり方が学べる研修の場となっていた。また、子供の活動の場や支援者の拡大、保護者との活動を共有、地域社会を支える共生の心の大切さ等の気付きへとつながっていた。検証の結果、「HBGはなまるキッズ」実践は、子供、およびボランティア支援者にとって有効であることが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2020年度、2021年度と、コロナ禍による影響は多大なものがあり、実践中止が続いたこともあったが、実践の縮小、指導法の改善(屋外での実施)、オンラインによる運動実施、用具の工夫などに加え、徹底した感染対策により、新たな定期的なアダプテッド・スポーツ実践が可能となりつつある。現在、1年目から同時に3つの研究テーマについて取り組みを進めており、概ね順調に研究成果も得られ、報告できている状況にある。
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今後の研究の推進方策 |
研究代表者として1・2年目の研究課題については、コロナ禍の状況に対応しつつ概ね順調に進めたてきた。今後、さらなる障害児者のアダプテッド・スポーツ活動拡大と参加者増加も予想され、すでに次年度以降の研究課題についても取り組みをまとめつつある。3年目の研究課題であるアダプテッド・スポーツ用具開発に係る研究について学会報告、および論文投稿が可能となるよう、さらに試行・分析を継続し整理していきたい。そして、3年の研究期間終了後も、引き続き研究活動を継続できるよう、生活課題を明らかにし続けたい。
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