研究課題/領域番号 |
20K02447
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研究機関 | 函館工業高等専門学校 |
研究代表者 |
佐々木 恵一 函館工業高等専門学校, 社会基盤工学科, 准教授 (10321366)
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研究分担者 |
奥平 理 北海道教育大学, 教育学部, 准教授 (70280310)
中村 和之 函館大学, 商学部, 教授 (80342434)
若園 雄志郎 宇都宮大学, 地域デザイン科学部, 准教授 (90573668)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | アイヌ / チャシ / 景観復元 / 教育 |
研究実績の概要 |
先住民族に関する国際的な議論が高まる中、日本においては2000年代に入ってアイヌをめぐる議論や施策が活発化してきた。一方、アイヌの考古学・歴史学の研究成果を教育に反映する作業はまだ十分ではない。近年、学校教育では「主体的・対話的で深い学び」へと転換しているのに対して、教育現場での手法の開発はまだ途上にある。本研究は社会教育・学校教育において体験・参加型の学習活動を実現することを目的とした。 研究対象であるチャシは、アイヌ文化を特徴づける遺跡である。チャシの機能について、「砦」や「館」などとされることが多いが、明確な通説はない。また、発掘事例は少なく、出土遺物を通じた実態の解明は進んでいない。さらに高度経済成長期の開発行為で破壊されたものが多く、実態解明についての障害となっている。 本調査では、チャシの構造を明らかにするため、内部に築造された壕を復元できる詳細な三次元データを得るため、UAV レーザー測量調査を実施した。その結果、壕の形状や配置、寸法や深さといったチャシの全体像を明らかにした。チャシの築造にあたっては、自然地形に壕をめぐらすという築造方法のために、元の地形を復元することが可能なチャシがある。これと調査結果を合わせると、チャシを築造するために移動した土量を算出することが可能となる。これにより、築造に必要な人手を推定することができるが、これは単に築造に関する作業量の問題にとどまらず、アイヌ社会が生業以外にどのくらいの人手を動員できたかを知る手がかりになると考えられる。さらに、移動した土量を模擬的に移動する体験活動を行い、労働の量と質などをふりかえることで、科学的な思考力や証拠をもって物事を考える力量を形成することができ、自分の体験活動によって、その労働の意義がより深く獲得できる。これらを通して、アイヌについて主体的・教科横断的に学習を深めていくことが可能となる。
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