本研究は、新しい学習指導要領が施行される前後の期間において、高校国語の授業の実態を継続的に観察することで、その改訂が授業のあり方にどのように反映されるのかを捕捉し、その趣旨の浸透状況を経年的に明らかにすることを目的とした。複数の国立大学の新入生に対する数百人規模の調査を継続的に行った結果、授業内容に変化の見出し難い項目と、変化を指摘し得るいくつかの項目が存在するなどの特徴を見出し、改善の進まない「書くこと」の領域への提案を試みた。 また、高校教員への聞き取り及び実地調査によって、多くの教員が新しい学習指導要領の趣旨の具現化に戸惑いつつ、試行錯誤を繰り返している実態も明らかになった。
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