研究課題/領域番号 |
20K02453
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研究機関 | お茶の水女子大学 |
研究代表者 |
冨士原 紀絵 お茶の水女子大学, 基幹研究院, 教授 (10323130)
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研究分担者 |
豊田 ひさき 朝日大学, その他部局等, 教授 (70079127)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 東井義雄 / 戦後教育実践史 / 表現活動の指導 |
研究実績の概要 |
2023年度は5月に新型コロナウィルス感染症が5類に移行したことにともない、本研究の中心的情報収集対象であった1950年代に生活綴方教育を受けた後期高齢者へのインタビュー調査が可能になった。また移動も自由になったことにより、兵庫県に出張し、以下の2点の活動を行った。 第一に東井義雄記念館での未整理の資料調査を複数回実施し、記念館と共同での資料目録を作成し完成させるための準備が整った。未整理の資料には戦後の東井の表現指導の原点となる戦前の取組の資料が多数含まれている。これまでの東井研究において戦前の学習指導の在り方への言及は厚くはないことから、今回の調査で存在が明らかになった資料から、新たな東井研究の可能性を開くことになると考えられる。またこれは、戦前の生活綴方教師の戦後の実践との関係を解明する上でも貴重な資料となることが明らかである。 第二に東井義雄の指導を受けた3名の教え子のインタビュー調査を実施した。インタビューを実施するにあたり、事前に調査対象者が東井義雄著作集の中で登場しているかの有無を確認し、著作集の内容をインタビューで裏付けることを試みた。実際のインタビューにおいても、著作集での記録を調査者と調査者対象者とで共有しつつ、対象者の記憶を可能な限り鮮明にすることを心掛けた。調査対象者からも、自身と同級生の他の子どもたちと東井との関係を示す資料の提供がなされ、東井による子どもの表現を重視した指導の一端を浮き彫りにすることができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
新型コロナウィルスの流行により、本研究の中心的な調査対象者の後期高齢者との接触が不可能であったことによる。
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今後の研究の推進方策 |
2024年度は次の作業を行い、報告書を完成する。第一に東井義雄記念館に保存されている未整理資料の目録を完成させる。昨年度、既に目録作成に必要な情報はすべて入手している。第二にインタビュー記録を開示可能な形に整える。2024年度に入ってから、調査対象者によるチェックを依頼している。この第一の作業と第二の作業結果に加え、既に公表している成果論文と合わせて一つの冊子にまとめ夏頃に完成を目指している。
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次年度使用額が生じた理由 |
2023年度が実質の研究活動年となり、費用は情報収集活動のみに費やすことになった。収集した情報を分析したり研究成果としてまとめるための時間が必要であり、2024年度に再延長を申請した。2024年度は最終年度であり、具体的には東井義雄記念館の8月の研究集会に合わせて研究成果を報告書の形でまとめ参加者に配布することを予定している。繰り越した予算は全額、この最終報告書の印刷費用とする予定である。
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