研究課題/領域番号 |
20K02454
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研究機関 | 上越教育大学 |
研究代表者 |
稲垣 応顕 上越教育大学, 大学院学校教育研究科, 教授 (90306407)
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研究分担者 |
瀬平劉 アントン 九州大学, 基幹教育院, 准教授 (50754438)
大久保 明子 新潟県立看護大学, 看護学部, 教授 (70279850)
坂井 祐円 仁愛大学, 人間学部, 准教授 (70351244)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 臨床教育学 / 生命尊重 / 道徳教育 / 宗教教育 / スピリチュアルケア / グリーフケア / ナラティブ教育学 |
研究実績の概要 |
2020年度は、新型コロナウィルス感染拡大防止のため、大学等の会場に参集することができず、Zoomによるオンライン形式での会合をもとに事業を進めることとなった。制限が多いため、研究計画の中で、2020年度の活動として実施したのは、研究分担者を中心に隔月で行う研究定例会である。以下にその内容を記載する。 第1回では、研究協力者の得丸定子氏(上越教育大学名誉教授)を迎え、「いのち教育のこれまでとこれから」と題する基調講義を行った。第2回では、研究代表者の稲垣より「教育カウンセリングの視点からいのち教育の理論と実践を考える」、研究分担者の大久保より「いのち教育とグリーフケア」というテーマでの研究発表。第3回では、研究分担者のアントンより、「人生の意義の発見と再構築―ナラティブ教育学の実践より」、研究分担者の坂井より「いのち教育はどこに向かうのか―生き物を殺して食べる授業を通して生命尊重とは何かを考える」というテーマでの研究発表。第4回では、九州大学院生の本田陽彦氏より「いのち教育の観照的実践としての詩吟」というテーマで、詩吟の実践と観照教育学に関する研究発表。第5回では、桜美林大学准教授の長谷川(間瀬)恵美氏より「魂(いのち)のケア―音楽死生学に学ぶ」というテーマで、緩和ケアにおける音楽療法士の役割と実践に関する研究発表、をそれぞれ行った。 第6回では、2020年度の研究定例会活動のふりかえりと反省、いのち教育のテーマについてのカテゴリー分類、2021年度の事業計画について、研究分担者間で検討した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2020年度は、Zoomによるオンライン方式で全6回の研究定例会を実施するほかなかったが、各研究分担者や本研究に関心をもつ研究者によって、いのち教育に関連する教育思想研究と教育実践研究の両方について、研究発表を進めることができた。このことは、初年度の大きな研究成果であると言える。また、これは初年度の計画通りの進展である。 課題として挙げられるのは、研究定例会で各研究者が扱った様々な領域に広がっていくいのち教育の研究が、それらの領域間ではどのように連関性をもつのかについては、却って見えにくくなっているという点である。この問題については、いのち教育として扱う領域関連のチャートを作って、整理することが必要である。第6回の研究定例会においてこれを試みたが、試案段階にとどまっており、今後の事業活動と並行して考究が必要である。
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今後の研究の推進方策 |
2021年度の研究推進のための方策は以下の通りである。 (1)研究定例会は、これまで通り隔月に1回のペースで、研究発表を中心として進める。 (2)いのち教育セミナーの開催 年間5回程度を予定。Zoomによる開催。教員、看護師、心理カウンセラーなどの主にケアに関わる職種(志望者を含む)を対象として、いのち教育の研鑽の場を提供することを目的とする。これは研究計画にあるリレー講義に該当する。講師は、研究分担者が主であるが、外部講師の依頼も考えている。 (3)いのち教育に関する学術書の出版準備。執筆者は研究分担者であるが、外部講師としてセミナーに関わった方にも依頼する。定例会やセミナーでの研究発表や講義内容をもとに論文を作成。想定される読者は、いのち教育セミナーと同じく、学校教育や医療福祉心理のケアに関わる職種の方々。 (4)いのち教育の啓発やいのち教育セミナーの案内などを必要としている方々に発信するため、Facebook等を活用する。また、ホームページの立ち上げも考慮する。
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次年度使用額が生じた理由 |
前年度は、コロナウィルス感染拡大防止のため、旅費が発生しなかった。次年度は、研究定例会を、上越教育大学もしくは新潟県立看護大学を会場として行う予定である。 また、いのち教育セミナーをオンライン講座として開催する予定であるが、外部講師を依頼するので、謝金を必要とする。
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