研究課題/領域番号 |
20K02459
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研究機関 | 十文字学園女子大学 |
研究代表者 |
加藤 亮介 十文字学園女子大学, 社会情報デザイン学部, 准教授 (50634268)
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研究分担者 |
東畑 開人 十文字学園女子大学, 教育人文学部, 准教授 (30747506)
新行内 康慈 十文字学園女子大学, 社会情報デザイン学部, 教授 (90267774)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | アクティブラーニング / オンライン授業 / 性格特性 / レジリエンス / 教育心理 / 学生相談 |
研究実績の概要 |
2020年度は研究計画に従い、学習者の性格特性とアクティブラーニングの相性について、データ収集及び分析を行った。なお本件は、コロナ禍ということもありオンライン授業実践に絞った分析となった。 具体的には、情緒的特性とオンラインのグループワーク(以下,GW)における相性についての関係性を分析した。22名を被験者とし、心理アセスメントを通して「情緒」に関する特性から安定群,不安定群と群分けし、それぞれへインタビュー/質問票調査等、マルチメソッド分析を行った。 結果として、 1.オンラインGW実践を通しての心理的観点、物理的観点における体感と、両群の性格特性との一定程度の相関、2.オンラインGW独特の「安心」「リラックス」という心理的補完効果の確認、3.オンラインGWがもつ「空気」についての問題提起 などが示され、オンラインGWの適性が,情緒的観点で、特に不安定群に対して、一定の補完的因子を持つことが示唆された。 上記で明らかになったことは、本件の主題である「レジリエンス」における対象、また対象に対するアプローチをいくつか提示したことに意義があり、2021年度以降のアクションリサーチや介入法の検討の有用な知見となった。また、本件は、日本教育情報学会にて発表、議論を行なっており、それらのフィードバックを含め、更なる分析へと進めていく。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
コロナ禍において、全面オンライン化の影響を受け、アクティブラーニング実践が、現状、オンラインで1校(半期1クラス)でしか行えておらず、データ量の不足が発生し、研究計画上の、データ分析後の「類型化」「マトリックス生成」のフェーズまでは到達していない。 しかしながら、コロナ禍状況、大学教育における不可逆的なオンラインシフト等を冷静に捉え、研究計画上のアクティブラーニング実践、アクションリサーチについては、オンライン授業前提でウエイトを移動させる等の再検討を行い、最適な選択と集中を行い、オンライン時代を前提とした最大限の知見を得る所存である。以上をもって、「やや遅れている。」としている。
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今後の研究の推進方策 |
まず、本研究は、「対面」「オンライン」両者のアクティブラーニング実践を前提とするものであったが、少なくとも研究期間の2/3はコロナ禍、オンライン授業が前提となることから、研究の対象を「オンライン授業」を前提とした授業モデル(レジリエンス・フォーカスト・アクティブラーニング「以下、RFAL」)の構築とする。また、当初予定していた、国外での議論、また他大学での実践などは物理的困難性が発生しているため、研究者3名が所属する2大学にて、適宜サンプルのバラエティがでるように工夫して進めていく。 そして研究推進の方策としては下記の流れを消化する形で進めていく。 ・2021年度は、2020年度と同様に、まず、アクティブラーニング実践においてのサンプルデータの追加を行う。性格特性と現行GWの相性問題について、引き続きアクションリサーチとしてGWを実践し、マルチメソッド調査、分析を行う。 ・それらのデータを踏まえ、ターゲットとなる心理的脆弱性群 に作用し、そして、レジリエンスを育てる臨床心理学的な「介入技法」を含んだ「プログラム」となる「RFAL」への枠組み構築へと進む。 ・その後、2022年度の下期の期間を使い、研究代表者・分担者らで「RFAL」を実践し、更なる量的分析と事例研究によって仮説の実証フェーズへと進んでいく。
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