研究課題/領域番号 |
20K02466
|
研究機関 | 東京都市大学 |
研究代表者 |
井上 健 東京都市大学, 共通教育部, 教授 (40259726)
|
研究分担者 |
屋敷 和佳 東京都市大学, 建築都市デザイン学部, 教授 (70150026)
畑 和樹 東京都市大学, 共通教育部, 講師 (70803477)
|
研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
|
キーワード | コミュニティ・スクール / 学校と地域社会 / 学校地域コーディネーター |
研究実績の概要 |
学校のガバナンスに革新をもたらした「コミュニティ・スクール」(以下、CSと略称)はソーシャル・キャピタルを活用した学校支援活動に成果を上げながら、小・中学校を中心に公立学校の約3割まで普及し、「地域創生の拠点」となることが期待されている。本研究は、CSに指定されて10年程度が経過した学校を主たる研究対象として、それぞれの「CSとしての原点」「活動内容や関係者の意識の経年変化」「転機になったできごと」を明らかにし、文科省の政策転換やCSに類似する施策を視野に入れながら、「CSが持続可能で効果的な仕組みであり続けるためにはどうすればよいか」を明らかにしようとするものである。 今般のコロナ禍で2020年度に予定していた「聞き取り調査」が実施不能となったため、近年に刊行されたCS関連図書にみられる実践事例からCSの新たな動向を把握するとともに、市区町村教育委員会のウェブサイトから「学校運営協議会規則」を収集して、2017年の「地教行法」改正が学校運営協議会の役割規定にどのように影響しているのかを探った。 また、研究代表者が関わる品川区立小学校(自治体版のCS)において、「学校はコロナ禍にいかに対応したのか」「学校と地域の関係でどんな動きがみられたのか」について校長らにヒアリングを行った。その結果、「一斉臨時休校」時のガバナンスなどに校区教育協働委員会(自治体版の「学校運営協議会」)が積極的に関与したとは言えないが、「学校再開後、校内の消毒が義務化された時の消毒作業」などに同委員会のメンバーでもある学校地域コーディネーターらが大きな役割を担ったことがわかった。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
コロナ禍の影響で予定していた「聞き取り調査」が実施できず、研究計画を修正せざるを得なかった。品川区立小学校1校(自治体版CS)については、2020年度に開催された5回の校区教育協働委員会(7月、9月、10月、12月、2月)の様子をビデオに録画し、校長らへのヒアリングもおこなうことができた。録画の詳しい分析はこれからであるが、コロナ禍の中、同委員会でなされていたさまざまな協議は、CSの役割や機能を考察するうえで重要な手がかりとなると思われる。今後の研究に反映させていきたい。
|
今後の研究の推進方策 |
新型コロナ感染症の収束状況をみながらであるが、2021年度の秋以降に首都圏ならびに地方の教育委員会、数カ所に聞き取り調査を実施し、文科省の政策転換がそれぞれの自治体でのCSのあり方、成果や課題にどのような影響を与える可能性があるかを考察する。また、2020年度に聞き取り調査を実施した品川区立小学校1校(自治体版CS、2017年に「指定」)では、CS活動を立ち上げた校長が2020年度末で異動になったので、新しい校長のもとでどのような変化や展開がみられるのかという観点から、引き続き、参与観察や関係者へのヒアリングを行っていく。
|
次年度使用額が生じた理由 |
コロナ禍によって、1年目に予定していた「聞き取り調査」ができなかった。そのため、ほとんど旅費を使うことがなかったので、次年度に繰り越す。また、「聞き取り調査」を踏まえて質問紙を作成して実施する「量的調査」のためのPCや統計ソフトなどの購入予算も、次年度以降に繰り越すこととしたい。
|