研究課題/領域番号 |
20K02466
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研究機関 | 東京都市大学 |
研究代表者 |
井上 健 東京都市大学, 共通教育部, 教授 (40259726)
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研究分担者 |
屋敷 和佳 東京都市大学, 建築都市デザイン学部, 教授 (70150026)
畑 和樹 東京都市大学, 共通教育部, 准教授 (70803477)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | コミュニティ・スクール / 学校と地域社会 / 教育政策 |
研究実績の概要 |
本研究は、「コミュニティ・スクール(以下、CSと略称)」に指定されて10年程度が経過した学校を主な研究対象として、CSが持続可能で効果的な仕組みであり続けるためにはどうすればよいかを明らかにしようとするものである。2022年度は、世田谷区立八幡中、阿智村教育委員会・阿智第三小学校、大館市教育委員会・城西小学校、福津市教育委員会、春日市教育委員会、岩泉町教育委員会・小川小学校・小川中学校・小本小学校・小本中学校・岩泉小学校への訪問調査を実施した。これらの学校(教育委員会)はいずれも、CS制度の黎明期にCSに指定された学校(CSに指定した教育委員会)であり、文科省が開催した「CS推進フォーラム(後に「CS推進協議会」と改称)」で先進的で特色ある実践を発表をしている。 訪問調査では、そうした活動が継続されているのか、CSの成果や課題をどのように考えているのかを中心に聞き取りを行った。その結果、例えば、秋田県で最初のCSである城西小学校では、指定を受けた当時から「学校運営協議会」とはまた別に、学校と一緒になって子どもたちのことを考え、諸活動を企画・運営する「地域委員会」という独自の組織があり、今日までほとんど変わらぬメンバーがCS活動を支えていることがわかった。市教委は城西小に対してCS事務を担当する臨時職員(2015年度以降。2016年度からCSコーディネーターも兼務)を加配するなどの支援をしてきたが、CSの「努力義務化」以降は、こうした「城西小モデル」ではなく、より身軽にCS活動を広げる体制を予定していること、などが明らかになった。 加えて、訪問調査とは別に、自治体版CSの校区教育協働委員会(「学校運営協議会」に相当する会議体)の録画データをもとに、学校の運営や参画に関わる会議のなかで「組織としての合意」がどのように行われるかについて会話分析の手法を用いた質的検討も行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本来であれば、2020年度にCS指定後10年程度経過した自治体・学校を選定・訪問して「聞き取り調査」を実施し、2021年度はさらなるケーススタディや量的調査へと発展させていく予定であった。 しかしながら、新型コロナウイルス感染症の影響で、2020年度はまったく調査ができず、2021年度もわずかに2自治体で「聞き取り調査」をしたのみであった。幸い、2022年度は5自治体で調査を行うことができた。当初の予定していた自治体数(学校数)の1/3であるが、ある程度、研究の遅れを挽回できたと感じている。
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今後の研究の推進方策 |
研究期間の1年延長が認められたので、当初予定していた自治体や学校(秋田、三重、山口など)への聞き取り調査を追加で行う。教育委員会訪問のみにとどまった自治体では、今年度、改めて学校訪問調査をする予定である。そのうえで、それぞれの教育委員会、学校で入手した資料を多角的に分析し、学校については「CSに指定された当初から今日までの、それぞれの学校の活動や担い手等にどのような変化があるのか」、教育委員会については「CSの成果と課題のどのように認識し、また、CSに関連する政策がどのように変化してきたのか」を整理しながら、CSを持続・発展させるための条件を探っていく。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルス感染症によって、本研究で予定していた15地域(自治体)・学校への「聞き取り調査」がまだ半数程度しかできていない。また、質問紙調査はコロナ禍という社会状況のため、見合わせることにした。その結果として、予定どおりに予算を使うことができなかった。 残っている予算は、来年度に追加で行う「聞き取り調査」での旅費、研究成果を発表するための学会参加旅費、さらには、報告書の作成などに充てる予定である。
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