研究課題/領域番号 |
20K02469
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研究機関 | 神戸学院大学 |
研究代表者 |
前林 清和 神戸学院大学, 現代社会学部, 教授 (10241168)
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研究分担者 |
諏訪 清二 兵庫県立大学, 減災復興政策研究科, 特任教授 (10814957)
田中 綾子 関西国際大学, 経営学部, 講師 (20845086)
舩木 伸江 神戸学院大学, 現代社会学部, 教授 (50434915)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 防災教育 / 教材開発 / 小学校 / 中学校 / 意識・行動を学ぶ教材 / アクティブラーニング |
研究実績の概要 |
本研究は、全国の小学校・中学校・高等学校の防災に関する現状を全国規模でアンケート調査を実施、分析したうえで、防災教育の標準化を前提とした災害全体を視野に入れた防災学習プログラムをアクティブラーニングの手法を組み込んで構築し、それにそったアクティビティと教材を開発し、その効果を検証するものである。 2021年度は、「意識・行動を学ぶ」ことを中心とした防災教育教材を小学生を対象としたもの、中学生を対象としたものについて、研究・開発・製作を実施し複数の教材を完成させた。 小学生を対象としたものは、明日災害が発生すると仮定して、今日何ができるかを考えて10の行動を記述し、その行動を参加者で交流する教材を開発した。小学生だと災害をイメージしにくいために、記述内容が十分ではない。そこで、鯉有働を記述した50枚程度のカードを用意することで、子どもたちには、この教材にとりくむこと自体が、災害時の出来事を知ることにつながるような工夫をした。もう一つ、小学校を対象として、震災の実体験を語り継ぐお話教材を作成した。災害体験を「自分事」ととらえてもらうために主人公と気持ちを重ね合わせる形で小学校での授業研究を実施し、表現等の修正をしてお話教材を作成した。実践については2022年度中に論文にて発表する予定である。 現在、最後の調整中で、完成すれば防災教育学会で発表する予定である。 中学生を対象としたものは、ドローンによる空撮動画およびアニメーションを使った津波を想定した教材である。空撮映像で町の全体像から津波想定域をイメージし、ハザードマップと重ね合わせたり、津波発生時にどのようにして避難するかを考えながら学んでいく教材である。来年度に、中学校で試用してその効果を論文で発表する予定である。 なお、2020年度に開発した南海トラフ巨大地震の避難教材は、防災教育学会2-1において査読論文として掲載された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2021年度の計画にそって、アクティブラーニングを駆使した小学校および中学校の教材を開発した。 小学校の「意識・行動を学ぶ教材」として、「dokokaII」を研究開発した。この教材では、地震編と地震・津波編を用意した。手順は次の通りである。シナリオの作成、行動カードの作成、ルールの作成、解説書の作成は、すべて完了している。また、災害体験を「自分事」として捉えるための震災体験を語り継ぐお話教材を開発し、すでに実証試用中である。2022年度に、その成果を防災教育学会などで発表し、研究論文として投稿する予定である。中学校の「意識・行動を学ぶ教材」として、「鳥の眼・虫の眼」を開発した。この教材は、地震・津波災害を想定したものである。コンセプトは、文部科学省が新学習指導要領において求める「知識・技能」「思考力・判断力・表現力」「学びに向かう力、人間性など」にそっており、これらの実現を目指して教材を開発した。シナリオ作成、津波浸水想定域が広がる地域でのドローによる空撮、市内でも避難経路の撮影、避難経路にそったクイズとイラストの撮影、編集、振り返りとしてのディスカッション内容の決定、すべて完了している。なお、この研究に関しては、2022年6月にある防災教育学会第3回大会で発表予定であり、さらに、「防災教育学研究3-2」において研究論文として投稿予定である。
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今後の研究の推進方策 |
2022年度は、2021年度に開発した小学生と中学生それそれを対象とした「意識および行動を学ぶ教材」を実際に学校において試用して検証し、研究論文を作成して関連学会に投稿する予定である。具体的には、次のとおりである。小学校は、二つの教材「dokoka」「dokokaII」を、小学校で実際に使って、子どもたちの反応を集める。この教材は、中学生、高校生、大学生でも活用が可能であり、可能な限り多様な子供たちに参加してもらい、そのアンケート調査から、改良点を明らかにしていく。最終的には、教職員向けの研修会などで活用を依頼し、より完成度を高めていく予定である。また、お話教材は、複数の小学校で活用し、さらにその教育効果を実証していく。 中学校は、開発した「鳥の眼・虫の眼」の教材を中学校の授業のなかで試用し、試用後に生徒にアンケートを実施する。そのことで、教材の有効性や効果、改良点などを明らかにする。その報告と考察を論文にし、防災教育学会に投稿する。さらに、明らかになった改良点にもとづいて、教材を改良し完成度の高い教材を目指す。
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次年度使用額が生じた理由 |
購入した物品や消耗品の差額が少しあり、次年度使用となった。次年度は、最終年度であり、研究の質をあげるための消耗品等にあてる予定である。
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