研究課題/領域番号 |
20K02477
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研究機関 | 弘前大学 |
研究代表者 |
福島 裕敏 弘前大学, 教育学部, 教授 (40400121)
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研究分担者 |
吉崎 聡子 弘前大学, 教育学部, 助教 (00361006)
吉中 淳 弘前大学, 教育学部, 教授 (10341629)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 教員養成 / 効果検証 / Institutional Research |
研究実績の概要 |
本研究は、弘前大学教育学部における教員養成カリキュラムの効果検証を、IR(Institutional Research)の手法にもとづきおこなうことにある。具体的には、学生に対する質問紙調査結果と、入学時・在学時・卒業時のデータを組み合わせたIRデータベースに基づき学生の教職意識の変化などを明らかにするとともに、教職に就いた後の変容などを明らかにし、今後の教員養成、ひいては「教職生活全体を通じた教員の資質能力の向上」に向けた改善・改革の方向性を探ることにある。 令和3年度においては、学生に対するアンケート調査を継続して実施するとともに、青森県公立学校教員就職者に対する卒業時におけるインタビュー調査も例年同様実施した。 令和3年度日本教育大学協会研究集会において、「教員養成カリキュラムの効果検証―2016年度入試制度・カリキュラム改革の効果検証」というタイトルで口頭発表をおこなった。弘前大学教育学部において、2016年度入学者から実施した入試改革・カリキュラム改革の効果検証を、4年次学生に対するアンケート調査に基づきおこなった。この改革は、これまで教科・領域別に実施していた入試を改めて、小中校種別に実施したことに伴うものである。結果、①小学校コース学生については、改革の効果は見られず、以前同様に教員養成カリキュラムに適合的な傾向が維持されていること、②中学校コース学生では教職志向・カリキュラム満足度・教科指導面での資質能力向上感がそれ以前に比べて上昇傾向にある一方で、4年間の教員養成カリキュラム体験を通じた自我同一性達成志向が弱く、カリキュラムへの安住傾向がみられること、等を明らかにした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
上述のとおり、アンケート調査とインタビュー調査については、概ね予定通り実施してきている。ただし、新型コロナ感染拡大の影響で、卒業生に対する調査は実施困難となった。しかしながら、高校生を対象としたセミナーにおける卒業生(3名)の講話では、いずれも弘前大学教育学部の教員養成カリキュラムが入職後の経験を支えるものであったことへの言及を得た。 成果公表については、口頭発表のみにとどまったため、論文としての公表に向けて作業を進める必要がある。
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今後の研究の推進方策 |
継続してアンケート調査、インタビュー調査を実施するとともに、日本教育大学協会研究集会における成果公表をおこない、それに基づく論文の発表を行っていく。 また延期を余儀なくされた卒業生に対するインタビュー調査については、夏休み期間での実施を計画している。特に卒後1年を経過した初任者については、新型コロナ禍により4年次教育実習を体験できなかった世代であるため、その影響を明らかにする上で重要な意味を有している。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルス感染拡大の影響により、学会等がオンラインでの実施となったことにより旅費が発生しなかったため。また第3期中期目標・中期計画の最終年度のため、大学から研究費などについての手厚い支援があったため。さらにアンケート調査のWebでの実施により入力のための謝金が必要なくなったため。 次年度においては、統計処理ソフトの更新を前倒し実施、関連書籍の充実、加えて新型コロナウイルス感染症拡大の状況を見極めながら、出張を伴うインタビュー調査についても積極的に行う予定である。
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