研究課題/領域番号 |
20K02486
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
平田 仁胤 岡山大学, 教育学域, 准教授 (50582227)
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研究分担者 |
杉田 浩崇 広島大学, 人間社会科学研究科(教), 准教授 (10633935)
山岸 賢一郎 福岡大学, 人文学部, 准教授 (20632623)
丸山 恭司 広島大学, 人間社会科学研究科(教), 教授 (30253040)
鶴田 真紀 創価大学, 教育学部, 准教授 (60554269)
渡邊 福太郎 慶應義塾大学, 文学部(三田), 准教授 (80634047)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | ウィトゲンシュタイン / 複ゲーム状況 / 言語ゲーム / 教室 |
研究実績の概要 |
令和2年度は、全2回の研究会を開催し、フィールド調査で得られたデータの検討を、ウィトゲンシュタイン哲学の人類学における議論を基にして分析・考察したうえで、次年度の口頭発表および論文作成に向けて検討した。研究会の概要は次の通りである。 第1回は遠隔ビデオ会議システムを用いて2021年12月19日(日)に開催した。平田仁胤によるフィールド調査の報告検討および杉田浩崇による重度障害児福祉領域にかんする文献調査報告がなされた。平田は、理科の授業風景を撮影したビデオ映像における教師-児童との談話を文字に起こしたデータを報告し、教室の言語ゲームの分析を参加者全員で行った。杉田は、びわこ学園の『創立20周年記念誌 びわこ学園の20年 1963-1983』に基づき、園生の「育ち」を捉える職員間の言語ゲームに矛盾や重なりが見られ、学園において重層的な言語ゲームが展開されていることを析出した。 第2回も同様のシステムを用いて2022年2月27日(日)に開催した。次年度の学会発表報告に向け、山岸賢一郎から道徳の授業の分析視座について、渡邊福太郎から武田常夫の授業実践記録について、鶴田真紀から特別支援教育のフィールドノーツについて報告があり、参加者全員で検討した。山岸は「考え、議論する」道徳科における複ゲーム状況が道徳教育を困難にしていることを、渡邊は武田の授業実践が複ゲーム状況をあえて作り出そうとしていることを、鶴田は学校において生徒が「障害者」としてカプセル化される状況を、それぞれ報告した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
新型コロナウィルス拡大によって断念せざるを得なかったフィールド調査も複数存在するなか、平田がフィールド調査を実施し、貴重なデータを得ることができている。また、次年度に引き続き、2回の研究会を定期的に開催し、今年度の研究成果を確認するとともに、次年度の成果発表に向けて準備することができたからである。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、新型コロナウィルスの拡大状況に留意しながら、当初の計画を想定しつつ、フィールド調査と研究会を続けていく予定である。とりわけ次年度が最終年度となることから、複数の学会において成果報告をするとともに論文化を目指していく予定である。ただし、研究計画の段階で予定していた海外での発表については断念する。新型コロナウィルスの感染状況がいまだ予断を許さない状況にあるためである。
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次年度使用額が生じた理由 |
昨年に引き続き、コロナウィルス感染症の拡大によって、旅費等の経費が発生しなかったためである。最終年度、生じた差額については、対面での学会参加が可能であれば旅費として使用しつつ、研究の遂行・研究成果の発表に必要な経費に充てたいと考えている。
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