研究課題/領域番号 |
20K02488
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研究機関 | 岩手県立大学 |
研究代表者 |
櫻 幸恵 岩手県立大学, 社会福祉学部, 准教授 (60347185)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | スクールソーシャルワーカー / 実践コミュ二ティ / 参加による学習 |
研究実績の概要 |
本研究では、スクールソーシャルワーカー(SSWr)の専門的力量形成と実践コミュニティの関係を検証している。2021年度は校内の物理的空間がSSWrの実践コミュニティへの参加や学びに与える影響について調査を行った。COVID-19 感染拡大によりインタビュー調査の予定を質問紙調査に切り替えて実施。調査対象は東北6県の国公立・私立中学校、調査時期は2022年3月、対象期間は2019年度-2021年度、配布数1066件、回収数500件で回収率46.9%であった。質問項目は14項目で、比較のためスクールカウンセラー(SC)の状況も併せて確認した。現在、結果の集計・分析中であるが6県中、北東北3県の一部項目についてのSCとの比較では、回答校のうちSSWrを活用する中学校は65%(SCは未回答を除き100%が活用)で、そのうち職員室内にSSWrの机がある(専用・非専用含む)学校は38%(SCは91.5%)であった。毎回または必要に応じて校内定例会議に出席しているのは27%(SCは52%)で、校内研修会への参加は11%(SCは34%)であった。また、会議や研修会以外に担当教員と情報交換や打ち合わせをしているのは35%(SCは97%)であった。それぞれの項目についてSSWrとSCを比較すると2倍から3倍のポイント差があり、また教員から見た信頼感や話しやすさといった意識にもSSWrとSCの間に違いがみられた。このことは、机の位置などの物理的距離や会議・研修会などの接触頻度の差が、非公式の情報交換・打ち合わせ回数や、仲間意識に影響することを示唆しており、先行文献が示すように実践コミュニティへの参加が学びに影響するならば、SSWrの職場環境の改善によって専門性獲得に寄与できる可能性がある。未集計の南東北3県の集計・分析、並びに相関関係など詳細な分析を加えて更に検証を進める予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2020年度に引き続き、2021年度も学校現場における児童・生徒に関するCOVID-19の感染拡大により、県内・県外の関係者へのインタビューが予定通り行えなかった。そのため。時期をずらして検討したが日程が折り合わず、最終的には調査予定を変更して質問紙調査に切り替えて実施した。そのため、2021年度内には分析を終了することが出来なかった。現在、集計・分析の手続きを進めているところである。
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今後の研究の推進方策 |
引き続き、昨年度の東北6県の中学校に対する質問紙調査の集計結果の分析を進めるとともに、回答校の中から、インタビュー調査の対象者を選定し、県内外の中学校のSSW事業担当者にインタビュー調査を実施する予定である。また、併せて県・市町村の教育委員会に対して、雇用実態や専門研修の実態などについての調査を進め、調査結果に基づき、学会発表及び学会誌に結果を公表する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
県外及び県内へのインタビュー調査を予定していたが、COVID-19感染拡大によりすべて中止となり質問紙調査に切り替えたため、移動旅費・調査謝金がかからなかったことに加え、調査手法の切り替え時期が遅くなったために、質問紙調査にかかる集計委託業務が年度内にできず、2022年度繰越になったため。2022年度はインタビュー調査及び集計委託業務に繰越額を充当する予定である。
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