研究課題/領域番号 |
20K02506
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
樋口 直宏 筑波大学, 人間系, 教授 (90287920)
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研究分担者 |
伏木 久始 信州大学, 学術研究院教育学系, 教授 (00362088)
石井 久雄 明治学院大学, 文学部, 教授 (30330947)
遠藤 宏美 宮崎大学, 教育学部, 准教授 (30613848)
長島 康雄 東北学院大学, 文学部, 教授 (50749158)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 小中一貫教育 |
研究実績の概要 |
本研究は、小中一貫教育における異校種の教員が感じる意識や困難とともに、それらを克服し融合する過程を明らかにして、小中一貫校教員に固有な専門性を活用するための研修方法を開発することを目的とする。本年度は、小中一貫教育の実践や運営がどのように行われているかについて、その状況を明らかにしながら研修の方向性を考察した。具体的には、小中一貫教育における特色ある取り組みや異校種教員間の意識について、義務教育学校、分離型中学校と小学校を選定して、校長および小中一貫教育コーディネーター教員の合計7校15名に対して調査を実施した。 その結果、学習面では、教育課程においては内容の入れ替えや移行よりも新教科の設定に重点が置かれるとともに、先取りよりも発展的学習が重視されていた。指導方法や学習スタイルについても、既習単元の確認や中学校での予告程度にとどまるとともに、発達をふまえた指導を行っているが、異校種間の組織的な取り組みはそれほど強くない。生活面における取り組みは、異学年交流や縦割り活動を中心に、特に義務教育学校を中心に実践されている。その一方で、6年生のリーダーシップについては、義務教育学校に課題がありそれを克服するための取り組みが行われていた。運営面については、教育目標の統一は行われているものの異校種・異学年の担当は少なく、教員の帰属意識も分離型ではそれほど高くない。また、義務教育学校では4-3-2年といった学年段階の区切りの設定を行うのに対して、分離型では合同での教員研修が積極的に行われていた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
新型コロナウイルスの影響で、2年次に計画していた調査を1年遅らせて、3年次目に実施したため。
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今後の研究の推進方策 |
小中一貫教育を推進するにあたっては、本年度の研究を通じて明らかにした、指導の一貫性の確保、学年段階の区切りの柔軟な設定、小学校高学年における教科担任制と乗り入れ指導、異学年交流の設定といった、小中一貫教育固有の特徴を実施するための体制整備が必要である。それとともに、小学校でも中学校でもない小中一貫教育の特質や意義とは何かといった、小中一貫教育の魅力や必要性を、個々の教員が感じられるようにする工夫が必要である。これらをふまえた、小中一貫教育を推進するための自治体および教員に対するガイドや研修方法を開発することが、最終年度の課題である。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルスの影響で海外調査が実施できなかったことと、研究分担者に配分した経費の未執行分が累積したため。来年度は、質問紙調査の分析とともに、研究成果の発表やまとめに際しての旅費や物品費に充当する予定である。
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