近代日本で学んでいた中国人留学生の研究は、近年盛んになりつつある。ただし、その多くは、清末民初の比較的「友好的」であった時期を扱うものであり、満州事変以降、敗戦に至るまで、両国が不和になった時期の研究は十分とは言えない。 そうしたなか、申請者は、1930年代以降、中国留学生全般を支援する「日華学会」(1918年創設)と医学薬学留学生の支援を行なった「同仁会」(1902年創設)に焦点を当て、それぞれの教育や支援の様相を明らかにした。また帰国した元留学生後との関係性についても調査した。その結果、戦時下故の「問題」はあったものの、「交流」や「相互理解」のための試みがなされたことを明らかにできた。
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