研究課題/領域番号 |
20K02527
|
研究機関 | 立命館大学 |
研究代表者 |
柏木 智子 立命館大学, 産業社会学部, 教授 (90571894)
|
研究分担者 |
仲田 康一 大東文化大学, 文学部, 准教授 (40634960)
大林 正史 鳴門教育大学, 大学院学校教育研究科, 准教授 (40707220)
|
研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
|
キーワード | 生活困窮世帯 / 生徒 / 学力保障 / 学習支援事業 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、生活困窮世帯の生徒の学力と自己肯定感を高める学習支援事業の運営方法(重視している目標および学校との連携)を明らかにすることである。本科研開始時より、COVID-19の影響により、学力・学習状況調査が実施されない等、当初予定していた調査対象選定が可能ではなくなった。調査対象は、就学援助率が高いにもかかわらず、学力と自己肯定感の高い「効果のある中学校」を全国学力・学習状況調査の個票データ貸与制度を利用して選定する予定であった。そのため、申請者らの学習支援事業者とのネットワークを活用し、学力と自己肯定感の向上に寄与しつつある学習支援事業者をそれぞれ選定し、そこでの運営方法を明らかにする手法に転換した。 今年度は、埼玉県・大阪府・徳島県・神奈川県の4県の中でも、学習支援事業を継続的に実施し、生徒の学力と自己肯定感の向上に対して積極的な活動を行っている事業者を4つ選定した。その上で、各自が以下の点についての聞き取り調査を開始した。第一に、学校と事業者の連携内容・方法、第二に学習支援事業者の目標(基礎学力向上や居場所づくりに対する重みづけ)と支援における具体的な方法や工夫である。 また、次年度実施予定の質問紙調査の作成を行った。質問紙の内容は、学力・自己肯定感の向上に対して、どのような事業運営が効果的なのかを明らかにするものである。その際、テストで測定可能な狭い意味での学力観ではなく、他者とのあたたかなかかわりの上で育まれる非認知能力も学力として設定した。質問紙調査は、学習支援事業を担う行政、学習支援事業者、学習支援事業に参加する子ども、保護者、学習支援事業のスタッフを対象にそれぞれ実施する予定である。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
COVID-19の影響により、当初の研究計画から変更が生じたものの、次年度実施の質問紙調査に向けておおむね順調に進展している。
|
今後の研究の推進方策 |
次年度は、以下の二点についての調査を実施予定である。第一に、学習支援事業者への聞き取りと学校訪問およびインタビュー調査である。学習支援事業者に関しては、生活困窮世帯の生徒の学力と自己肯定感を高める学習支援事業の運営方法について聞き取りを実施する予定である。一方、学校に対しては、生活困窮世帯の子どもに対してどのような学習活動を実施しているのかを調査する。その上で、学習支援事業が学校の学習活動にどう影響を与えているのかを明らかにする予定である。ここでは、学校と学習支援事業の活動との異相を捉え、子どもの学びを深めるための学習活動の在り方について提示することを目的としている。 第二に、質問紙調査を実施する予定である。質問紙の内容は、学力・自己肯定感の向上に対して、どのような事業運営が効果的なのかを明らかにするものである。その際、テストで測定可能な狭い意味での学力観ではなく、他者とのあたたかなかかわりの上で育まれる非認知能力も学力として設定する。また、子どもがどのような関係性のもとでなら学習意欲が高まると感じているのか、ケアを軸に非認知能力の向上について分析可能な質問項目とする予定である。質問紙調査は、学習支援事業を担う行政、学習支援事業者、学習支援事業に参加する子ども、保護者、学習支援事業のスタッフを対象にそれぞれ実施する予定である。調査実施予定時期は、2022年末である。
|
次年度使用額が生じた理由 |
COVID-19により、研究計画の変更を行ったため次年度使用額が生じた。次年度は旅費のための費用に使用する計画である。
|