研究課題/領域番号 |
20K02532
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研究機関 | 埼玉大学 |
研究代表者 |
渡辺 大輔 埼玉大学, 教育機構, 准教授 (00468224)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 性の多様性 / LGBTQ / 包括的性教育 / ジェンダー / セクシュアリティ / 授業研究 / 人権教育 / 性教育 |
研究実績の概要 |
〔研究目的①〕性的マイノリティへの個別支援・配慮の実態調査:前年度に埼玉県教育局人権教育課の協力の下で実施したアンケート調査の結果をもとに、県内で協力校を募り、性的マイノリティの子どもたちへの配慮や支援、それをめぐる学校環境の整備のプロセスや現状、今後の課題について聞き取り調査を行った。それによって、アンケート調査では掴みきれなかった個別具体的な事例の効果や課題を聞き取ることができた。またこれらの知見をいかして県教委作成の啓発資料等の監修を行った。 〔研究目的②〕「性の多様性」教育の実態把握・成果分析:倉敷市教育委員会の協力の下、倉敷市立の中学校での「性の多様性」に関する研究授業において、事前の指導案・教材等の検討、当日の授業観察および意見交換を行った。一方、レインボーハートokinawaの教育実践については新型コロナ感染症の影響で現地調査ができなかった。 〔研究目的③〕諸外国の教育実践事例収集:前年度同様、新型コロナ感染症の影響で現地調査ができなかった。フィンランド、および台湾の状況については、これまでの研究で得た情報を一般社団法人“人間と性”教育研究協議会が編集する雑誌『季刊セクシュアリティ』において発表した。 〔研究目的④〕教材開発・授業実践研究:東京都公立中学校において「多様な性」という授業を特別活動(学級活動)の時間にクラスごとに2時間実施した。それに先だって、指導案・教材の更新、本年度から授業を担当する教員との打ち合わせ、生徒への事前調査を行った。授業後には事前調査と比較検討するための事後調査を行った。また、東京都内私立高等学校においても第1学年「総合的な学習の時間」をつかって、1学期後半に「性の多様性」に関する授業を実施した。これについても担当教員を指導案、教材、授業の効果、および次年度に向けて課題を明らかにするための検討を重ねた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
〔研究目的①〕性的マイノリティへの個別支援・配慮の実態調査:埼玉県内の学校への聞き取り調査は、新型コロナウイルス感染症の影響も相まって、協力校が予想よりも大幅に減少し、調査実施時期も本年度末に近いものとなった。データ収集だけでなく、分析や暫定的報告書の作成も遅れている。 〔研究目的②〕「性の多様性」教育の実態把握・成果分析:研究予定にあげていたレインボーハートokinawaの教育実践については新型コロナ感染症の影響で現地調査ができなかった。 〔研究目的③〕諸外国の教育実践事例収集:新型コロナ感染症の影響で予定していた国・地域における現地調査がまったくできなかった。 〔研究目的④〕教材開発・授業実践研究:新型コロナ感染症の予防を徹底した中で、授業実践、授業観察は概ね予定どおり実施できた。
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今後の研究の推進方策 |
〔研究目的①〕性的マイノリティへの個別支援・配慮の実態調査:埼玉県内の学校への聞き取り調査を引き続き実施するとともに、暫定的報告書、学会発表等の準備を行う。 〔研究目的②〕「性の多様性」教育の実態把握・成果分析:引き続き倉敷市教育委員会の協力を仰ぐとともに、新型コロナ感染症の影響をみながら、可能であれば、レインボーハートokinawaの教育実践についても現地調査を行う予定である。 〔研究目的③〕諸外国の教育実践事例収集:新型コロナ感染症の影響をみながら、可能であれば、台湾およびフィンランドまたはオーストラリアでの現地調査を行う予定である。 〔研究目的④〕教材開発・授業実践研究:引き続き東京都公立中学校と東京都私立高校にて授業実践研究を行う予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナ感染症の影響で、予定していた日本国内および国外における現地調査がほとんどできなかったために、予算の中でも旅費を中心に差額が生じた。 次年度は新型コロナ感染症の状況をみながら、可能であれば国内調査、国外調査を実施する予定である。
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