研究課題/領域番号 |
20K02533
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研究機関 | 東京学芸大学 |
研究代表者 |
中村 純子 東京学芸大学, 教育学部, 准教授 (70761625)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 国際バカロレア教育 / 文学 / 読解力 / コンセプトベース / 概念理解 / DP / PYP |
研究実績の概要 |
全国大学国語教育学会で2回の発表を行った。2022年5月の第142回・東京大会では、シンポジウム「 国語科のカリキュラムを考える―『コンテンツ・ベース』と『コンピテンシー・ベース』の対立を超えて―」のテーマの中で「メディア・リテラシー教育カリキュラム研究の系譜―コンテンツ、コンピテンシー、コンセプト―」と題し、IBのコンセプトベース・カリキュラムの重要性を論じた。2022年11月の第143回・千葉大会では、3名のDP教員と「DP言語A「文学」「言語と文学」・文学作品の選択における観点 -ジャンル、グローバルイシュー、3 つの探究領域をめぐって-」と題したラウンドテーブルを開催し、DP言語Aにおける選書の観点を明らかにした。 IB国語研究会では、DP「言語A」における指導の課題を見出すことができた。<活動記録> 4月24日:山本寛司「夏目漱石「こころ」を丁寧に読む」、5月22日:岩瀬丈 「読解力可視化のためのDoodle活用」、7月3日:中村純子「デジタル・メディア・リテラシー」、 8月21日:金井大貴「 IBDP日本語Aにおける学習者ポートフォリオ」、9月18日:伊藤かおり「定番教材・夏目漱石『こころ』を教室で読む意義-ICTを用いたデジタル資料の効果的活用-」、11月20日:岩瀬丈「文学作品におけるchallenging/sensitive topicの扱いに関する議論」、12月18日;小林真大「内在批評と外在批評の視点から見た作品の選択」、1月22日:中村純子「ペーパー2 課題作品批評会」、2月19日(日):國井千穂「学習者タイプ別、家庭学習方法の検討」 2022年8月1~3日、PYPのワークショップに参加し、教科の枠を超えた単元の作り方と初等教育における概念理解に関する研鑽を積んだ。IBでは、初等教育における概念理解の指導が読解力に大きな影響を与えることを見出した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
IB国語研究会をオンライン開催することによって、IB校の教員から指導課題を取材することができ、有意義な知見を得ることができた。IBプログラムの根幹をなす初等教育PYPのカリキュラム設計の方略が明らかになり、今後の研究の方向性を見出すことができた。本研究はコロナ禍の影響で、最初の2年間の活動の進捗がやや遅れていたが、学校現場の課題をオンライン研究会によって取材する方向に切り替えることで進展することができている。研究期間を1年延長する。これまでの研究から新たな課題が見出され、最終年度の上半期は、PYPに関する共著の出版を目標においてる。
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今後の研究の推進方策 |
これまでの活動から、DP言語Aにおける近代文学、翻訳文学の指導方略については概ねの方向性が明らかとなった。2022年11月の全国大学国語教育学会・千葉大会・ラウンドテーブルで現場のDP教員から、DP最終課題における日本の古典文学の扱い方に課題が残されていることが見出された。そこで、令和5年度は東京学芸大学の古典研究の専門家の協力を得て、東京学芸大学附属国際中等教育学校のDPコースでの実践研究を取り組んでいく。 さらに、これまでの研究から、初等教育における概念理解指導に関する新たな課題が見出された。最終年度の上半期は、PYPに関する共著の出版を目標においてる。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナ禍の影響のため 研究が進まなかった。最終年度は、研究関連の書籍購入、IB校訪問交通費、成果報告書の編集および印刷費にあてていく予定である。
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