本研究は、ドイツの哲学者W.ディルタイ(1833-1911年)の教育学が、現代ドイツの教育科学の理論構築に対して持つ意義を考察し、ディルタイの教育学の再評価を試みる。そのために、19世紀のディルタイの教育学から、現代のドイツの教育科学の諸理論に至るまで、科学と解釈学と陶冶の関係がどのように捉えられているのかを分析した。その結果明らかになったことは、ディルタイの教育学においては3者は密接に関係づけられていたが、現代ドイツの教育科学においては、3者の関係は科学と解釈学、解釈学と陶冶、科学と陶冶というように分断され、それぞれの部分的な結びつきから、科学性が主張されているという事実である。
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