研究課題/領域番号 |
20K02540
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研究機関 | 都留文科大学 |
研究代表者 |
佐藤 隆 都留文科大学, 教養学部, 教授 (70225960)
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研究分担者 |
渡邉 由之 東大阪大学, 公私立大学の部局等, 准教授 (40611348)
片岡 洋子 千葉大学, 教育学部, 教授 (80226018)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 生活綴方教育 / 主体的・対話的学び / 新教育 / 教育課程づくり / 教育実践の自由 / 丹羽徳子 |
研究実績の概要 |
本研究の3つの柱は以下の通りである。①岐阜県恵那地域において行われた生活綴方教育実践は1970年代から80年代には全国的に注目されたが、その代表的な実践家の一人である丹羽徳子の教育実践と教育思想を検討する。②丹羽を含む恵那の教師たちは、子どもが学習したことの自分にとっての意味を考えさせ、学級等で共有した。こうした個々の学びを交流し協働化をめざすことを、恵那では「私の教育課程づくり」とよび、その探求を行ったが、これらの現代的意義を明らかにし、現在提起されている「主体的・対話的で深い学び」「カリキュラム・マネジメント」「社会に開かれた教育課程」と結びつけてとらえ直す。 ③およそ1世紀前の新教育の思想がいまどのように見直され、教育改革の動向にどう位置づけられているのかを検討する。とりわけ、フランスのフレネ教育など諸外国の新教育の現代的展開のなかでは学習の個別化と協働化が強調されているが、これらと生活綴方教育の共通性を明らかにする。 本年度は、この課題に対して、恵那教育研究所内の東濃民主教育研究会・丹羽徳子に関する資料を精査し、デジタルデータ化する。また、それらの資料の解釈を通じて、その意義を現代の課題と照らしながら検討する。②「恵那の教育」と通底するフレネ教育等の教育研究動向を現地調査と文献研究を通じて明らかにする予定であった。 しかし、コロナウイルス感染症の影響により、すでに収集済みの資料の読み込みなどの作業にとどまった。一方で恵那の教育のなかで使われた言葉である「子どもをつかむ」ということの意味の探求を行うとともに、コロナ禍における教育実践においてこの思想がどのような意味を持ちうるのかを検討した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
すでに収集済みの資料の読み込み、さらに探査すべき資料の確定などを行うことができたが、コロナ禍によって、国内及び海外調査を実施することができなかった。
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今後の研究の推進方策 |
2020年度はコロナウイルス感染の影響を受け、本格的調査研究がかなわなかった。2021年度はあらためて研究所年度に予定していた調査を行い、東濃民主教育研究会・丹羽徳子関連資料の整理・保存(デジタル化)と分析に注力する。 そのほか、1970年代に恵那の教師たちと交流があり、「恵那の教育」に学んだ教師たちが集団的に存在する地域(北海道、青森、滋賀など)も調査の対象とすることも検討する。 海外調査については、現状が改善するまでは行えないが、メール等を使用することで何らかの対応を考える。
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次年度使用額が生じた理由 |
今年度予定していた国内及び海外調査が、コロナの影響で実施できなかったことが大きな理由である。人件費に関しても海外調査の際の通訳補助に対するものであったが、これも使用不可となった。
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