研究課題/領域番号 |
20K02543
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研究機関 | 仙台白百合女子大学 |
研究代表者 |
岡 敬一郎 仙台白百合女子大学, 人間学部, 教授 (90449968)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 南原繁 / 専門性 / 教職 / 戦後教育改革 |
研究実績の概要 |
南原繁および戦後教育改革に関する文献を収集・分析し、南原の思想について理解を深めることができた。 その成果の一部として執筆した論文「射水郡長期の南原繁における教職観-『何たるべきか』の分析を通じて-」が、所属先の研究紀要に掲載された。南原が富山県射水郡長を務めていた時期に発表した「何たるべきか」の分析を通じて、彼が当時有していた教職観の一端を明らかにするものである。 南原は、教員に対する積極的な思いを持って教員養成所に入り、勉強に励んで小学校准教員の検定に合格した。実際に教員になったわけではないものの、彼の論述からは教育に関する学問を勉強して免状を取得したが故の自信のようなものが感じられた。そして、南原が自ら出会った小学校時代の先生のことを振り返りながら教師に求めたのは、教育の内容・方法に関する力量と教師としての心・魂の両面であった。前者は「学問」、「学識」や「教法に関する技能」であり、後者は「真面目の心」、「一生懸命の心」、「児童に対する真心」、「愛の心」と表現される。南原は後者を第一の要件と定めつつも、常に両面が並び立つ形で論じていた。 自らの経験を基にした素朴な認識ではあるものの、射水郡長期の南原が教師に対して心や魂の問題だけでなく教育の内容・方法に関する力量も求めていたことを確認できたのは、南原における教育の専門性認識の生成を検討するという本研究の目的に照らして大きな発見であった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
予定していた富山県・東京都への訪問調査が、新型コロナウイルスの感染拡大に伴って実施困難となっているため。
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今後の研究の推進方策 |
新型コロナウイルスの感染状況に留意しながら、富山県・東京都への訪問調査を実施する。富山県では、南原繁が射水郡長として地方行政を経験した際の活動とその背景に関する資料を収集するため、博物館や図書館への訪問調査を、また東京都では、南原および戦後教育改革に関する資料を収集するため、研究所や図書館への訪問調査を予定している。
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次年度使用額が生じた理由 |
予定していた富山県・東京都への訪問調査が実施できなかったため、旅費として使用する予定だった金額を次年度へ繰り越さざるを得なかった。 訪問調査の日程を変更し、次年度以降の実施回数を増やす予定である。また、続けて実施が困難な場合は、旅費の一部を物品費の一部として使用することを検討する。
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