研究課題
基盤研究(C)
富山県・東京都への訪問調査を実施して、南原繁に関する資料を収集・分析した。成果は以下のとおりである。第一に、南原が富山県射水郡長を務めていた時期に発表した「何たるべきか」の分析を通じて、彼が当時有していた教職観の一端を明らかにした。第二に、射水市新湊博物館が所蔵する片口屋文書から南原繁書簡・葉書を紹介し、南原と片口安太郎の長年にわたる交流や協力関係を明らかにした。第三に、射水市中央図書館所蔵の旧「片口文庫」について調査し、「郷土資料」部分に関する新たな目録を作成した。
教育行政学
南原繁が郡長を務めていた当時の富山県射水郡に関する資料について、博物館や図書館の担当者から貴重な示唆を得ながら、残存状況を確認することができた。当時の南原が、自らの経験を基にした素朴な認識ではあるものの、教師に対して教育の内容・方法に関する力量を求めていたこと、また郡立農業公民学校創設を通じて、南原と片口安太郎が協力関係を築いていたことを確認し、南原における教育の専門性認識の生成の一端を明らかにすることができた。