研究課題/領域番号 |
20K02545
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研究機関 | 日本大学 |
研究代表者 |
黒田 友紀 日本大学, 理工学部, 准教授 (60631851)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 教師の専門性の開発 / 学校改善 / 公正 / 授業研究 |
研究実績の概要 |
2023(令和5)年度は、3年間延期となっていた海外での実地調査の実施と国際学会への参加ができた。また、日本における小中学校での学校改善に関する実態調査についても進めることができた。具体的には以下の通りである。 1.文献調査等による教育政策・制度・授業研究の解明・分析:学校改善について、米国における学校風土に着目し分析を行った。また、公平で質の高い教育を維持するための要素のひとつである教師の労働条件や研修に焦点をあて、日本・米国・カナダの比較検討を行った。 2.実地調査:①国内の小中学校の学校改善に関する訪問調査および校長・教頭・スーパーバイザー(元指導主事)へのインタビュー調査を行い、学校改善の現状についての現状把握とその分析を行った。②米国・マサチューセッツ州における学校改善について、(1)Aハイスクールにおいて「探究的な授業と学校改善」に取り組む教師にインタビュー調査を行い、(2)教師の専門性の開発を行うBハイスクールにおいて、専門性の開発のための校内ミーティングへの参加と校長に対する学校改善に対するインタビュー調査を行い、米国における学校改革の現状について把握し分析を行った。 3.研究の成果:①日本比較教育学会第59回大会において、公平で質の高い教育を維持するための教員の労働条件や研修について、「「教師であること」をめぐる問題の比較検討 -日・米・加の教員給与と研修制度に焦点を当てて-」として研究成果を発表した。②アメリカ教育学会第35回大会において、米国の学校改善について、「米国の学校アカウンタビリティにおける「学校風土」に関する研究」を共同発表として研究成果を発表した。また、日本教育制度学会『教育制度研究』特別号に、「「教師であること」を支える教員制度のリ・デザインに向けて -教師のウェルビーイングとエージェンシーに着目して-」として、研究成果を発表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
文献調査として、米国およびカナダの教師の状況や専門性の開発に関する研究を進めることができた。また、米国での実地調査を実施することができ、コロナ禍以降の学校を巡る状況や学校改善の一端を把握することができた。また、日本における小中学校の学校改善について、学校訪問および校長・教頭・元指導主事へのインタビュー調査を実施することができた。これらの研究から、公平で質の高い教育を維持するための要素でもある教師の労働条件や研修に焦点をあてた、日本・米国・カナダの比較検討を進めることができた。そして、研究の成果について国内の教育関連の学会にて発表を行い、論文としても発表することができた。 しかしながら、カナダにおける学校改善の実地調査については、研究代表者と先方のスケジュールが合わず行うことができなかった。そのため、次年度の課題としたい。
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今後の研究の推進方策 |
2024(令和6)年度は、前年度に実施できなかったカナダにおける学校改善に関する実地調査を再計画している。年度の早い段階で調査計画を立てて実施に向けて調整を行う。しかし、カナダでの実地調査を実施できる見込みが立たない場合には、米国での調査を再計画するか、日本国内の調査対象校を広げることで調整を行う予定である。 また、2024(令和6)年度は本研究課題の最終年度となるため、研究成果の共有と発表を中心に行い、学会での発表や研究会の開催を行うこととともに、論文を執筆して投稿する。
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次年度使用額が生じた理由 |
本課題の研究期間のうちの3年間は、コロナウイルス感染症のために海外での実地調査を行うことができなかった。2023(令和5)年度は、米国における実地調査の実施と、国際学会への参加はできたものの、予定していたカナダにおける学校改善に関する実地調査は、研究代表者の校務と調査先の研究者の都合の関係で実地調査を行うことができなかった。そのため、海外調査費用をすべて使用することができなかった。 そこで、2024(令和6)年度中にはカナダでの実地調査を遂行できるように再調整し、年度の早い段階で調査計画を立てる。調査を実施できない場合は、研究成果を共有する研究会の実施、国内外の学会への参加費用として使用する予定である。
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