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2021 年度 実施状況報告書

インドネシア国立イスラーム大学における知の再編-一般諸学との融合形態に着目して-

研究課題

研究課題/領域番号 20K02558
研究機関名古屋大学

研究代表者

服部 美奈  名古屋大学, 教育発達科学研究科, 教授 (30298442)

研究期間 (年度) 2020-04-01 – 2023-03-31
キーワードイスラーム高等教育 / インドネシア / 知の再編
研究実績の概要

本研究の目的は、インドネシアにおいてイスラーム宗教専門大学から総合大学としてのイスラーム大学への再編がはじまる2000年以降のイスラーム高等教育改革に焦点をあて、「宗教知」と「世俗知」の融合がどのように構想・実践されているのか、さらに新生のイスラーム大学が、「宗教知」と「世俗知」の融合によって、多宗教・多文化共存のための「知の共通基盤」をいかに創出しているかを明らかにすることである。
考察では、新生イスラーム大学の理念と学部学科の構造、各学部の教育課程、そして国内外の大学とのネットワーク構築の分析を行う。なお、本研究は国を並列して考察する国際比較研究の形態はとらないものの、分析の参照枠として、1)マレーシア国際イスラーム大学が掲げる「知のイスラーム化」の実践を中心とする東南アジアの動向、2)イスラーム教育科学文化機構(ISESCO)およびイスラーム世界大学連合(FUIW)が推進するイスラーム教育の世界的な動向をおくことにより、インドネシアを東南アジアおよび世界潮流のなかに位置づけて現代イスラーム諸国の知の再編の俯瞰図を描くことを最終的な到達点とする。
2年目である2021年度は、2020年度に引き続き、2000 年以降のイスラーム高等教育改革の動向分析を実施した。具体的には9校ある新生の国立イスラーム大学に焦点をあて、各大学がめざす「宗教知」と「世俗知」の融合および「知の共通基盤」のあり方を分析した。2021年は可能であれば海外調査を予定していたが、コロナの感染拡大状況を鑑み、海外調査を中止し、文献調査に徹した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

2年目である2021年度は、2020年度に引き続き、2000 年以降のイスラーム高等教育改革の動向分析を実施した。具体的には9校ある新生の国立イスラーム大学に焦点をあて、各大学がめざす「宗教知」と「世俗知」の融合および「知の共通基盤」のあり方を分析した。分析に当たっては各大学が発行している資料を収集し分析した。
一方で、感染症の拡大により2020年度に続き2021年度も現地調査を実施することができなかった点でやや遅れが生じている。

今後の研究の推進方策

2022年は感染症の収束が見込まれた場合は現地調査を実施する。しかし、現地調査が困難な場合は文献資料を中心に研究を継続する。
2022年度は2020年度~2021年度で行った研究を継続するとともに、分析の参照枠としてのイスラーム教育科学文化機構(ISESCO)およびイスラーム世界大学連合(FUIW)に関する調査を実施する。感染症の収束が見込まれた場合は、モロッコでの調査を実施するが、渡航困難な場合は文献調査の他、現地調査の代替措置として必要に応じてオンラインによるインタビュー等も行う。同時に、新生の国立イスラーム大学の現地調査についても感染症の収束が見込まれた場合には実施するが渡航困難な場合は文献調査の他、現地調査の代替措置として必要に応じてオンラインによるインタビューや国際ワークショップを企画する。
以上の分析を通して、本科研の最終年度の総括として、イスラーム世界で進行しているイスラーム教育の現代的傾向を明らかにするとともに、インドネシアの国立イスラーム大学で実践されている「宗教知」と「世俗知」の融合、さらに多宗教・多民族共存のための「知の共通基盤」の特徴を明らかにする。

次年度使用額が生じた理由

2021年度は感染症の拡大により予定していた現地調査を中止したため、繰越金が生じた。2022年度は感染症が収束した場合は現地調査を実施する。

  • 研究成果

    (8件)

すべて 2022 2021

すべて 雑誌論文 (2件) (うちオープンアクセス 1件) 学会発表 (3件) 図書 (3件)

  • [雑誌論文] 東南アジア島嶼部における女性の高学歴化とジェンダー ―インドネシアとマレーシアの比較教育研究―2022

    • 著者名/発表者名
      鴨川明子・服部美奈
    • 雑誌名

      『山梨大学教育学部紀要』

      巻: 32 ページ: 1,21

    • オープンアクセス
  • [雑誌論文] 文献紹介 服部美奈・小林寧子編著、長沢栄治監修『教育とエンパワーメント』(イスラーム・ジェンダー・スタディーズ3)2021

    • 著者名/発表者名
      服部美奈
    • 雑誌名

      『比較教育学研究』

      巻: 63 ページ: 187

  • [学会発表] インドネシアにおける女性の高学歴化-「ワークライフキャリア形成」とジェンダー2021

    • 著者名/発表者名
      服部美奈
    • 学会等名
      日本比較教育学会研究委員会主催オンライン・ワークショップ「東南アジアにおける女性の高学歴化を考える-「ワークライフキャリア形成」とジェンダー」
  • [学会発表] インドネシアにおけるイスラーム教育改革-プサントレン法(2019)をめぐる動きに着目して2021

    • 著者名/発表者名
      服部美奈
    • 学会等名
      日本比較教育学会第57回大会、筑波大学(オンライン)
  • [学会発表] 義務教育とホームスクール規定の国際比較 インドネシア2021

    • 著者名/発表者名
      服部美奈
    • 学会等名
      ラウンドテーブル、日本比較教育学会第57回大会、筑波大学(オンライン)
  • [図書] 日下部達哉編『イスラーム教育改革の国際比較』(服部美奈「第3章 インドネシアにおけるイスラーム教育改革-制度化されない教育の伝統のゆくえ-」63-83頁)2022

    • 著者名/発表者名
      服部美奈(章執筆)
    • 総ページ数
      200
    • 出版者
      東信堂
    • ISBN
      978-4798917511
  • [図書] 学会創立30周年記念編集委員会編、佐藤千津編著『コミュニティの創造と国際教育<日本国際教育学会創立30周年記念論集>』明石書店、(服部美奈「第3章 インドネシアにおける共有価値としての「寛容」の醸成-市民性教育と宗教教育の教科書に焦点をあてて」45-60頁)2021

    • 著者名/発表者名
      服部美奈(章執筆)
    • 総ページ数
      209
    • 出版者
      明石書店
    • ISBN
      978-4750352978
  • [図書] 松下晴彦・伊藤彰浩・服部美奈編著『教育原理を組みなおす-変革の時代をこえて』名古屋大学出版会、(服部美奈「第15章 ポスト世俗化社会における宗教教育」262-280頁、服部美奈「終章 ポスト変革の時代の「教育の未来」-よい教育とはなにか」299-306頁)2021

    • 著者名/発表者名
      服部美奈(編者、章執筆)
    • 総ページ数
      325
    • 出版者
      名古屋大学出版会
    • ISBN
      978-4815810450

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公開日: 2022-12-28  

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