研究課題/領域番号 |
20K02560
|
研究機関 | 山口大学 |
研究代表者 |
林 寛子 (沖田寛子) 山口大学, 教育・学生支援機構, 准教授 (20294613)
|
研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
|
キーワード | 通信制高校 / 進路選択 / 自己意識 / 能力アイデンティティ |
研究実績の概要 |
本研究は、「再帰的メリトクラシー」の概念を用いて現在の大学入試の在り方をとらえ、大学入試出願資格(課程)というメリットに注目し、通信制課程と全日制課程の高校生の実証的比較研究から、通信制の高校生の大学進路選択の実態及びその背景構造を明らかにし、大学入試制度の在り方を検討することを目的としている。 2021年度は、通信制課程の現状を整理し研究論文として公表した。その中で、1990 年代以降の広域制通信制高校の出現は、通信制高校の目的を、勤労青少年だけでなく戦時中戦後の混乱の中で学ぶことができなかった一般成人に対して進学の機会を与えたことから、既存の高校教育の教育システムや教育方針を変える新しい教育の模索に変化させたととらえた。 また、2020年度に実施した全日制課程と通信制課程の両方を設置している山口県の高校の生徒を対象としたアンケート調査「高校生の進路選択と自己認識に関する調査」の分析を2020年度に引き続き行い、研究論文として公表した。その中で、山口県の通信制課程と全日制課程の生徒の進路選択と自己意識の比較研究から、通信制課程の生徒は,他者との比較の中で生じる能力アイデンティティの揺らぎや自己意識が高校卒業後の進路希望に影響せず,大人の勧め等の影響を受けながら「高等学校卒業」という目的に向けて自分が選択した学びを進めている様子が明らかになった。 さらに、広域制通信制高校の訪問調査及び広域制通信制高校の生徒を対象としたアンケート調査「高校生の進路選択と自己認識に関する調査」(Web調査)を実施した。2021年度は通信制課程の高校生を対象とした聞き取り調査も計画していたが、学校現場の新型コロナウイルス(COVID-19)への対応に配慮し、訪問可能な高校における学校見学にとどまった。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
新型コロナウイルス (COVID-19) の流行のため、2021年度に予定していた通信制課程の高校生への聞き取り調査は実施できなかった。しかし、通信制課程の高校のスクーリングの様子や登校型の授業等を実際に見学した。また、調査の協力が得られた広域制通信制高校において、Web調査で全国の校舎の生徒を対象に調査を実施することができ、広域制通信制高校の生徒の実態を把握することができた。
|
今後の研究の推進方策 |
2021年度は通信制課程の高校生を対象とした聞き取り調査も計画していたが、学校現場の新型コロナウイルス(COVID-19)への対応に配慮し、訪問可能な高校における学校見学にとどまった。2022年度に可能な限り、通信制課程の高校生への聞き取り調査を試みる。また、2021年度に実施したアンケート調査データを用いて広域制通信制高校の生徒と狭域制通信制高校の生徒との比較分析を進めていく。
|
次年度使用額が生じた理由 |
調査対象者が高校生ということもあり、新型コロナウイルス (COVID-19) の流行のため、直接高校生に聞き取り調査を行うことができなかった。また、高校の訪問調査も協力が得られた高校には限りがあり、まん延防止等重点措置発令時を避けるなどの対応をすると、思うように訪問調査ができなかった。また、コロナ禍に対応するためWeb調査を行ったことにより、調査票印刷費や送料等の削減もあった。 本研究においては、通信制高校および高校生の状況を明らかにすることであるため、可能な限り対面での調査を実施することを目指す。
|