研究実績の概要 |
2020年度の本研究は、新型コロナのために渡印がかなわず、相当に限定された研究となった。本年度の主な研究計画は、主として1.ケララ州の基礎教育普遍化の事情を中心とした教育事情を現地調査によって明らかにすること、2.その調査結果に基づき、ケララ州と従来まで研究してきたタミル・ナードゥ州の基礎教育調査計画を立てること、であった。 しかし2020年度は2回計画していた渡印が出来なかったために、研究計画を国内で出来ることに限定し、以下の3つの研究を実施した。1.2019年の科研費申請のための予備調査の際に入手したGovernment of Kerala, General Education Department, THE KERALA EDUCATION ACT,1958 and THE KERALA EDUCATION RULES,1959の翻訳、解釈に努めた。同法は古いものだが、現在でもケララ州の教育の基本法となっており、義務教育についても定めている。2010年からインドで施行されているRTE法を分析する視点に有益であることが分かった。2.ケララ州の歴史・政治・経済・文化など、基礎教育の普及に影響を及ぼすであろう社会文化的な背景について、様々な文献から研究した。良く指摘されるキリスト教文化と共産党政権の影響はその一部であるが、さらなる文化・歴史的背景の考察が必要である。3.ケララ州を中心にインド南部のタミル・ナードゥ州・カルナータカ州の様々な教育統計を整理した。 以上のように、今年度は非常に限定された研究しか実施できなかった。しかし、上記の研究が次年度以降の現地調査や具体的な論文作成に有益となるよう活用していく。
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