本研究では2010年代以降イギリスで進められた大学入学試験改革において、公正なアクセスのあり方(fair access)と多様な背景を有する人々の高等教育への参加(widening participation)をめぐる改革について検証した。その結果、国レベルでアクセス拡大のための試験制度改革が検討されていること、また「社会的背景に基づく選抜」が個々の大学の政策に応じて展開されていること等が明らかとなった。一方、データからは社会経済的格差による進学率改善は十分進んでいない一方、30歳代以上の成人学生が増加に転じており、この点での入学者層の多様化は進んでいることが明らかとなった。
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