研究課題/領域番号 |
20K02584
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研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
岩本 健良 金沢大学, 人間科学系, 准教授 (50211066)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 性的指向・性自認(SOGI) / LGBT / ジェンダー統計 / 性別欄 / 青少年育成条例 / トイレ利用 |
研究実績の概要 |
共著論文として、性的指向・性自認に関する概念と測定法に関する海外の先行研究をレビューした上で、大阪市民調査のデータに基づき人口学的属性との関連を分析した。その結果、親や本人が日本国籍を持たない人や女性など、マイノリティ属性である方が、性的指向に関し異性愛以外の回答が多いなど、諸外国の分析結果と共通する結果が得られた。 性別欄とジェンダー統計に関しては、LGBTの人権やプライバー保護とジェンダー統計の維持向上との両立をどのように図るか、政府や自治体の取組事例や動向をさらに調査し、情報の流れの観点から理論的に整理し、解決策の類型とともに、課題と今後の望ましい方向性を示した。 トランスジェンダーのトイレ利用に関しては、オフィスおよび公共施設に関して、シスジェンダー・トランスジェンダー全国6万人を対象に産学連携でweb調査を行い、基礎報告書を作成し、分析を進めている。2017年の調査に比べ、5年間でトランスジェンダーのトイレ利用に関する抵抗感の減少がみられた。トランスジェンダーは、利用したいトイレを利用できていない人がオフィスでは約 4 割、公共施設では約 3 割に上ること、またトランスジェンダーの中で「利用しているトイレ」も「利用したいトイレ」もさまざまであった。シスジェンダー/トランスジェンダー双方にとって、「トイレの選択肢」があることが重要であることが示された。 制度面に関しては、自治体の条例・規則における同性愛等に関する条項の有無や内容を、いくつかの自治体について網羅的に調査した、その結果、青少年育成条例・規則における有害図書の指定において、「性交またはこれに類する性行為」があるのに加えて「同性間の行為」を挙げる条項があり。性的マイノリティの人権保護の観点から問題があること、また早期にあるいは近年削除修正した府県もある一方で、長年放置されている県が多数に上ることを見出した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
新型コロナ感染症の拡大・継続により、予定の調査や資料収集が困難になったことにともない、当初の計画を変更している。それに沿って、2022年度はいくつかの調査・分析を並行して進めてきた。成果の一部は、講演・マスコミへの取材対応・政府の委員会や自治体等への情報提供や提言を行い、社会還元に努めている。
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今後の研究の推進方策 |
多様な性への認識と評価は、人々の意識と社会制度の両面に現れる。その両面において、従来の研究では、現状が明確に把握されてこなかったり、埋もれていた制度的課題が明らかになりつつある。最終年度として、これまでの調査等をまとめ、論文その他で成果を形にとりまとめ公表する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
2022年度の当初支出計画とほぼ同額を執行したが、新型コロナ感染症の感染がまだ継続していたため、それによる2021年度からの繰越額相当分を上乗せして消化することが困難であったことによる。補足的な資料収集や補足調査を次年度に実施し、成果の充実を図るために使用予定である。
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