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2023 年度 実施状況報告書

日本社会における多様な性への認識と評価に関する知識社会学的研究

研究課題

研究課題/領域番号 20K02584
研究機関金沢大学

研究代表者

岩本 健良  金沢大学, 人文学系, 准教授 (50211066)

研究期間 (年度) 2020-04-01 – 2025-03-31
キーワード性的指向・性自認(SOGI) / LGBT / ジェンダー統計 / 性別欄 / トイレ利用 / 青少年保護育成条例 / 災害
研究実績の概要

性別欄とジェンダー統計に関しては、LGBTQの人権保障やプライバー保護とジェンダー統計の充実との両立をどのように図るべきか、政府や自治体・民間の取組事例や動向をさらに調査し、情報の流れの観点から理論的に整理し、課題と解決策の4類型、今後の望ましい方向性を、論文として示した。
トランスジェンダーのトイレ利用に関しては、2022年に行った6万人を対象としたweb調査を元に、トランスジェンダーがトイレを利用する際のストレスや困難、トランスジェンダーの多機能トイレの利用実態と課題について、分析を進めている。困難や課題解消のためには、オフィスでは、まずは多機能トイレの設置が解のひとつと考えられ、公共施設や大規模オフィスでは、機能分散の一環として「男女共用広めトイレ」の設置が有効な解のひとつと考えられることを明らかにした。
制度面に関しては、自治体の青少年育成条例・規則における有害図書の指定において、「性交またはこれに類する性行為」があるのに加えて「同性間の行為」を挙げる条項があり、性的マイノリティの人権保護の観点からダブルスタンダートで問題があるが、多くの場合問題の存在が担当職員にすら気づかれず、まだ見直し途上にあること、少なくとも4府県で「同性愛」を削除し、うち経緯が判明した事例は、いずれも外部の指摘・修正要請によるもので、市民からの指摘や改善の働きかけが重要であることを見出した。学会報告を行い、また成果が生かされ複数の県で規則の改正がなされた。
2024年1月に発生した能登半島地震を受けて、災害による性的マイノリティの困難についても研究範囲に組み入れ、過去の災害時の経験がどう生かされているのか、現状と今後の課題について情報収集と考察を進めている。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

新型コロナ感染症により、前年度までに計画の変更・繰り延べはあったものの、前年度までの社会調査・資料収集をもとに、2023年度はいくつかの追加資料収集と分析を並行して進めてきた。成果として、学会報告や論文掲載を行い、マスコミでも数度の取材を受け報道された。講演、自治体等への情報提供や提言を行い、社会還元にも努めている。このほか、2024年1月に発生した能登半島地震をふまえて、災害による性的マイノリティの困難についても計画対象に組み入れて、研究を進めている。

今後の研究の推進方策

多様な性への認識と評価は、人々の意識と社会制度の両面に現れる。その両面において、従来の研究では、現状が明確に把握されてこなかったり、埋もれていた制度的課題が明らかになりつつある。能登半島地震を受けて、災害の視点も組み入れ、最終年度として、これまでの調査等をまとめ、論文その他で成果を形にとりまとめ公表する予定である。トランスジェンダーのトイレ利用に関しては一般向け報告書をとりまとめ公開予定である。

次年度使用額が生じた理由

2023年度は最終年度であったが、新型コロナ感染症の影響で前年度以前から執行が繰り延べとなっていたことによる。補足的な資料収集や補足調査、追加の学会報告等を次年度に実施し、成果の充実を図るために使用予定である。

  • 研究成果

    (10件)

すべて 2024 2023

すべて 雑誌論文 (1件) 学会発表 (7件) 図書 (2件)

  • [雑誌論文] ジェンダーと統計:LGBTQの人権保障とジェンダー統計の充実の両立のための性別情報の扱い(特集:ジェンダーと都市計画:データ/ファクトから読み解く都市とジェンダー)2024

    • 著者名/発表者名
      岩本健良
    • 雑誌名

      都市計画

      巻: 73 ページ: 34-37

  • [学会発表] 神道とLGBTQ (Part 2)~神道の歴史やあるべき姿から考える~2024

    • 著者名/発表者名
      岩本健良
    • 学会等名
      セクシュアルマイノリティと医療・福祉・教育を考える全国大会
  • [学会発表] トイレのオールジェンダー利用に関する研究2024

    • 著者名/発表者名
      岩本健良, 日野晶子, 高橋未樹子
    • 学会等名
      GID(性同一性障害)学会
  • [学会発表] トイレのオールジェンダー利用に関する研究 その1:トランスジェンダーに対する意識の変化2023

    • 著者名/発表者名
      高橋 未樹子, 岩本 健良, 日野 晶子
    • 学会等名
      日本建築学会
  • [学会発表] トイレのオールジェンダー利用に関する研究 その2:トランスジェンダーのトイレ利用における現状と課題2023

    • 著者名/発表者名
      日野 晶子, 岩本 健良, 高橋 未樹子
    • 学会等名
      日本建築学会
  • [学会発表] トイレのオールジェンダー利用に関する研究 その1:トランスジェンダーに対するシスジェンダーの意識の変化2023

    • 著者名/発表者名
      高橋 未樹子, 日野 晶子, 岩本 健良
    • 学会等名
      日本福祉のまちづくり学会
  • [学会発表] トイレのオールジェンダー利用に関する研究 その2:トランスジェンダーのトイレ利用における現状と課題2023

    • 著者名/発表者名
      日野 晶子, 高橋 未樹子, 岩本 健良
    • 学会等名
      日本福祉のまちづくり学会
  • [学会発表] 青少年保護育成条例・施行規則における同性愛への差別的条項をめぐる状況2023

    • 著者名/発表者名
      岩本健良
    • 学会等名
      日本社会学会
  • [図書] よりそいホットラインセクシュアルマイノリティ専門相談分析報告書―中間報告その2―2024

    • 著者名/発表者名
      LGBT法連合会
    • 総ページ数
      29
    • 出版者
      LGBT法連合会
  • [図書] SOGIをめぐる法整備はいま:LGBTQが直面する法的な現状と課題2023

    • 著者名/発表者名
      LGBT法連合会
    • 総ページ数
      159
    • 出版者
      かもがわ出版
    • ISBN
      9784780312720

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公開日: 2024-12-25  

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