研究課題/領域番号 |
20K02592
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
亀山 友理子 慶應義塾大学, 経済学部(三田), 特任講師 (10747314)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 異文化理解 / 異文化受容態度 / 多様性 / 共生 / 国際比較 / 実験 |
研究実績の概要 |
本研究は、異なるホスト国の児童生徒の異文化受容における意識や態度に焦点を当て、外国にルーツを持つ児童生徒の種別および摂食経験の程度を鑑みた質問紙調査および経済実験により潜在的意識におけるデータを分析し、有益な視差の導出により、多様性のある包摂的な学校づくりの政策基盤の構築に貢献することを目的としている。 本年度は、COVID-19の影響により、日本での質問紙調査及び実験が実施できなかったことで、研究の進捗を大きく妨げた。この状況は数年続くとみられ、日本および他2か国において対面式で行う予定だった調査をオンラインで行う計画に変更した。そのため、本分野での先行研究調査のほか、オンライン調査の質問項目の構築、オンライン実験について調査を行った。本分野における先行研究においては、異文化理解の教育現場における日本および海外の実践、社会学、行動経済学、心理学にかかわる文献を収集、分析を行った。また質問調査においては、左記の先行研究から得られた質問内容を組み込むことのほか、社会経済的背景に関する質問、友達関係、自尊感情、身体や情動的健康を測る質問(QOL)を収集し整理した。これらの質問から得られる回答は、異文化理解の受容態度を分析する上で大変重要なデータとなる。さらに、オンライン実験については、まず正式に、子どもを対象とした実験を数多く行っている島田研究員を研究分担者として協力を得た。そして信頼ゲーム、利他性ゲーム、独裁者ゲーム、公共財ゲームなど、オンラインで実験を行っている実例をいくつか収集し、本研究の目的に合った手法に現在調整中である。 本年度は、まずプールしている対象者にプレ調査を国内で行い、その後セキュリティ管理を依頼できる調査会社とともに対象者を募り、質問項目と実験内容をオンラインのシステムに入力し、調査を実施する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究の主要となる日本における質問紙調査及び実験が、COVID-19の影響により実施できなかったことで、研究の進捗を大きく妨げた。 まず、予定していた実験場所である大学の教室利用が、しばらくの間利用可能か不明となり、利用条件が制限された。また、教室が利用できたとしても、このような現況下、十分な人数の被験者が集まらないことが懸念された。さらに、人が一定の時間集まるような実験の設定に、研究者側で消毒対策を講じなければならず、開催することに不安が生じた。最後に、COVID-19のまん延状況の変動によって起こりえる、実験実施のキャンセルなど対応できる稼働力がなかった。このような理由により、予定していた形での実験実施に至ることができなかった。
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今後の研究の推進方策 |
今後、COVID-19 の影響は数年の間継続すると懸念されている。そのため、当初予定していた質問紙調査及び実験について、3か国ともオンライン上の質問調査及び実験に変更し実施する予定である。 本年度については、まず昨年度予定していた日本における質問調査及び実験を行うこととする。研究者側で、質問内容とオンラインで可能な実験内容を決定する必要がある。プレ調査を企画し、同時に研究代表者および分担者ともに既に経験のある業者に依頼し、セキュリティ管理を徹底し、その後対象者を募る。数週間の間オープンにしたシステムで、質問調査及び実験ともに回答してもらう。 本年度末にはフィードバックをおこない、来年度の他2か国でのオンライン質問調査及び実験を行う予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
昨年度はCOVID-19の影響により、国内での質問紙調査及び実験を行うことができなかった。COVID-19は数年の間、研究活動に影響を与えることが予想されるため、対面で行う予定であった質問紙調査及び実験をオンラインに変更する。 そのため、日本における実験、海外実験旅費に使用する予定であった調査補助・助手として計上していた金額は使用せず、代わりにオンライン調査を行うためにセキュリティ管理等依頼する調査会社の費用として使用する予定である。
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