研究課題/領域番号 |
20K02603
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研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
周 飛帆 千葉大学, 大学院国際学術研究院, 准教授 (80270867)
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研究分担者 |
WANG WEITING 千葉大学, 国際未来教育基幹, 特別語学講師 (30572648)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 中国人の留学 / 家族の意識 / 階層と教育 |
研究実績の概要 |
本科研は、当初から中国における現地調査を元にする実証研究としてデザインされていたが、コロナ対策として中国に渡航する際には長期間の隔離が必要となったため、現地調査は今年度も実現することができなかった。 その代替策として、今年度はネットによる質問紙調査を行った。調査は2021年6月の予備調査、8月の本調査の2回に分けて実施し、北京、上海、深セン、長沙、福州に居住している中高生の保護者を対象に行った。調査依頼は研究協力者を通じて集め、アンケート調査の専門サイト(wjx.cn)にアクセスしてもらう形で実施した。上記の五つの都市を中心に計296名の対象者より回答が得られた。 質問紙調査の結果に対してspssを用いた統計分析を行い、まず子どもの留学、留学先、留学目的、心配事などについての家族の意識と全体的な傾向を明らかにした。その上で、親の年収、職業、学歴よって上位層、中間層、下位層の三階層をわけ、階層によって留学に対する意識、取り組みの差異について検証・考察した。さらに、居住都市、在学学校、外国語能力や学校の成績と階層との相関関係についても分析した。 主な結論は、①留学に対する関心は全体として強く、また世帯収入が高いほど、親の海外経験と学歴があるほど、留学に対して積極的である。②上位層の一部は中等教育段階から留学を前提とした教育戦略を構築し、コロナ禍においても留学を遂行しようとしている。中上位層は留学を中国国内進学の代替策として考慮している傾向がある。③家庭における教育支出は階層による差異がなく、中間層以上の家庭は子どもの成績と外国語能力に対する自己評価が高い。この調査結果は周(2022)の論文に記載している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初計画した実地調査は実現できなかったが、ネットによる質問紙調査を行い、ある程度の成果を上げている。
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今後の研究の推進方策 |
引き続き中国における現地調査の可能性を探っていく。同時にオンラインによろインタビュー調査を行うなどの代替策を実施する。
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次年度使用額が生じた理由 |
予定していた現地調査は実現できなかったため、今年度に残金が発生しました。次年度に調査研究や学会発表のための旅費などに使用する予定である。
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