研究課題/領域番号 |
20K02615
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研究機関 | 帝京大学 |
研究代表者 |
山崎 直也 帝京大学, 外国語学部, 教授 (10404857)
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研究分担者 |
日暮 トモ子 目白大学, 人間学部, 准教授 (70564904)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 書院教育 / 書院 / 中国 / 台湾 / 香港 / マカオ / 高等教育改革 / 大学 |
研究実績の概要 |
2020年度は新型コロナウイルス感染症の流行という不測の事態によって、研究代表者山﨑および研究分担者日暮の現地調査がすべて実施不可能となり、また現地からの書院教育関係者の招聘も不可能になったため、研究が大いに滞った。山﨑にとっては、調査研究と学生交流の両面を通じて頻繁な行き来があるマカオ大学呂志和書院の葉銘泉院長との情報交換からコロナ禍の中での書院教育の展開について貴重な情報を得るなどの動きもあったが、不測の事態で対応に追われる各地域の大学と緊密に連絡を取ることは難しく、新たな一次情報の収集という点では、ほぼ得るものがなかったと言える。しかしながら、本研究課題ならびにその前身を成す「レジデンシャル・カレッジの導入と定着にみる中台港澳高等教育改革比較研究」(基盤研究C、2016-18年度)で得た知見に基づいて、いくつかの成果を出すことができた。 山﨑は、前身となる研究課題で訪問調査を行った国立金門大学に関する内容を含む研究ノート「金門島スタディツアーを設計する─台湾研究のアウトリーチの一方法として―」を執筆し、『境界研究』No.11(2021年3月)に掲載された(査読あり)。また、2020年度中に様々な側面から中華世界を理解する共著書の1章として中華世界の教育について執筆したが、その内容は中国と台湾の教育をパラレルに比較し、さらに香港、マカオの教育に言及するというものであり、前身研究課題以来の中国・台湾・香港・マカオ(両岸四地)の比較研究という特色を色濃く反映している。また、マカオの書院研究について、コラムという形で特筆している。同書は2021年度中に刊行の予定である。 日暮は、2020年6月7日開催の大学教育学会第42回大会のラウンドテーブルで「中国語圏・アジアにおける学寮教育の展開」と題する報告を行ったが、これも前身研究課題と本研究課題の研究をまとめたものである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
上述のように中国・台湾・香港・マカオの書院教育、高等教育改革について、いくつかの研究成果を2020年度中に公刊、ないし2021年度の公刊に向けて準備することができたが、2016-18年度の前身研究課題の蓄積による部分が少なからずあり、新型コロナ感染症流行の影響で現地調査がまったく行えないという不測の状況下において、本研究課題としての新たな進捗は非常に限られたものとなった。収集した資料からの情報のインプットと執筆に時間を割くことができたが、全体として研究活動は停滞したと言わざるを得ない。現地で得る生の情報が重要となる研究の性質を鑑みて、今後も新型コロナウイルスの状況に左右される部分が少なからずあると思うが、オンラインなどの方法を模索して2021年度以降の研究を充実させていきたい。
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今後の研究の推進方策 |
2021年度以降の研究も新型コロナウイルス感染症の状況に応じた対応を求められるが、研究対象地域への渡航が不可能な間は、書院教育に関する一次・二次資料の体系的な収集と読み込みに力を注ぎ、渡航再開後により充実したフィールドワークが可能となるよう書院教育研究のインフラ強化に取り組む。同時に、対象地域の書院教育関係者と共同してオンラインでの研究会、ワークショップなどを企画していきたい。しかし、2020年度の研究の停滞は相当なものがあったため、本来3年間の計画であった本課題を4年間に延長し、しっかりとした研究成果を出していきたいと考えている。
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次年度使用額が生じた理由 |
2020年度は新型コロナウイルス感染症の影響により研究代表者および研究分担者のすべての国内・海外出張、海外からの書院教育関係者の招聘がすべて中止となった。2021年度は新型コロナウイルス感染症の流行状況を見ながら可能な範囲で現地調査を実施するとともに、オンライン研究会、オンラインワークショップなどの開催を模索していきたい。
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