本研究では、大学における学生の退学を防止する為に行う教育施策の意思決定を支援することを目的として、日々変化し蓄積していく学生データ(授業履歴、GPA、年齢など)と共に学内外の人間(教職員、保護者、友人等)の行動データを組み込んだ中退予測モデルを構築した。
中退予測モデルを作成するにあたり、1.入学前にわかるデータ、2.入学後にわかるデータの2種類を用いた。1の入学前にわかるデータには学生個人に関係するデータと当該学生を中心とした人間関係のデータの2種類を用いた。学生個人のデータでは入学前の学校(主に高等学校)の出欠席データや評定平均、高校タイプ等を利用した。また、人間関係データでは保護者や友人関係のデータをインタビューとアンケートデータを利用して、予測モデルに用いた。2.の入学後にわかるデータとしては、学期ごとの成績や単位数等を用い、学期ごとに中退リスクの再計算を行った。
上記の1と2を説明変数として利用し、中退する/しないを目的変数に利用して、各学生ごと各学期ごとに中退リスクを算出する中退予測モデルを作成した。利用したモデルはロジスティック回帰モデルとランダムフォレストモデルを利用した。作成したモデルを用いて、人間関係がどの程度予測精度に影響を与えるのかを検証した。人間関係は中退予測の精度を高めることがわかった。今回の人間関係等のデータを含んだ予測モデルを用いて、中退防止をどのように行っていくのかを学会や論文等で発表し、成果をとりまとめ、公開した。
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