研究課題/領域番号 |
20K02619
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研究機関 | 日本福祉大学 |
研究代表者 |
松山 有美 日本福祉大学, 教育・心理学部, 准教授 (20613996)
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研究分担者 |
モローネ ミッシェル 名古屋学芸大学, ヒューマンケア学部, 教授 (20637714)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 多様性保障 / 子どもの人権 / 民主主義的保育 / インクルーシブ保育 / 米国 / スウェーデン |
研究実績の概要 |
本研究の主たる目的は、「保育における多様性はいかに保障されるのか」を米国およびスウェーデンの保育実践を通して、明らかにすることである。本研究では、「多様性」を人種、民族、言語に加え、階層、ジェンダーおよび家族のありよう等を含む社会的・文化的側面と広義に捉え、これらを包摂した保育を解明する。両国は、移民を受け入れ多様性を包摂しながら社会を構築してきた一方で、多様な価値観や生活様式間での衝突も少なくない。こうした社会において、就学前の子どもたちにかかわる保育における、①多様性をめぐる保育制度の整理、②保育実践として多様性保障の検討と評価、③「子どもの人権」と「民主主義的保育」について検討を行う。研究方法としては、米国およびスウェーデンでの資料収集、インタビュー調査、参与観察等の質的手法により展開する。 研究当初には想像もしなかった、新型コロナウイルスの蔓延という世界的な未曾有の事態は、本研究の主軸となる国際比較研究に大きな影響を与えた。それ故、米国およびスウェーデンにおける現地調査が大幅に遅れている。しかしその一方で、コロナ禍に急速に普及したオンラインでの研究会や国際学会を活用し、これまで以上に国際的な研究者間の交流がなされている。本研究において、オンラインを活用した国際シンポジウムが開催されるに至ったのも一事例である。また、「子どもの人権」と「民主主義的保育」についての国際比較研究会の立ち上げもオンラインで進められてきた。今後も対面での調査とオンラインでの研究の両方向から本研究の課題に迫る。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2022年度はコロナ禍にありながらも、まずはスウェーデンの保育に関する直接的な研究を再開することができたことは、大きな進展といえる。具体的には、2022年11月に国際シンポジウム「多様性を保障するインクルーシブ保育を考える(1)ースウェーデンの取り組みを通して」が開催された。スウェーデンから2名の保育研究・実践者を日本に招聘し、また1名をオンラインで繋ぎ①スウェーデンにおけるインクルーシブ保育②レッジョエミリアの実践を通した多様性保障③子どもの人権と民主的な保育について報告・討議がおこなわれた。研究者滞在中には、日本の保育施設等を視察し、保育者・子どもたちとの交流を行いながら、日本における研究資料の収集がなされた。米国に関しては、新型コロナウイルスの拡大防止処置の影響を受け、対面での研究再開には至らず、オンラインでの調査および資料の収集となった。また、子どもの人権と民主主義的保育についての国際比較研究会の立ち上げの準備が進められた。
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今後の研究の推進方策 |
2023年度は、渡航して現地調査を予定している。また同時にオンラインでの調査や資料収集を継続して行い、子どもの人権と民主主義的保育についての国際比較研究会を進めていく。保育における多様性保障を①子どもの人権と保育制度、②多様性保障に関わるカリキュラム、③民主主義的保育の実践の側面から分析を進めていく。上記研究会を通して、スウェーデンおよび米国の研究者・実践家と共同し多様性を保障する保育の実践の展開と普及を検討していく。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナ禍において、旅費(特に航空券)の見通しが難しく、航空機の経路と人数を調整し変更したため次年度使用額が生じた。
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