研究課題
本研究は、学童期の子どもの実行機能課題の成績と近赤外光脳機能イメージング装置を用いた課題に関連する脳賦活の結果をもとに、実行機能の発達度を評価しうる指標を見出することを目的とした。 我々の先行研究から、年齢に依存した課題の成績がみられるルール選択課題(Harada et al.2018)を用いて学童期の子どもの実行機能の発達度を行動データおよび脳機能賦活から評価した。7~10歳の小児54名(平均年齢8.7±0.9歳)を対象に、ルール選択過程における実行機能の発達度を行動データから評価するとともに、課題遂行中の両側前頭前野(PFC)と運動前野(PMC)をカバーする42チャンネルのfNIRSイメージングシステムを用いて酸素化ヘモグロビン(oxy-Hb)を脳賦活の指標として検討した。重回帰分析により、タスクパフォーマンスと各関心領域(ROI)のoxy-Hb変化量を独立変数とし、年齢、課題条件、年齢×課題条件、IQを従属変数として解析した。本研究では、TaskAをコントロール条件とし、TaskBと比較して、TaskCにおける年齢の影響に注目した。その結果、正答率への影響はIQを除き、年齢、課題条件、年齢×課題条件において有意であった(p<0.05)。また、TaskC関連皮質活動に対する年齢の影響は右前頭極皮質でのみ観察され(p=0.034)た。よって前頭極皮質は、このようなルールに基づく認知制御システムの発達に重要な役割を果たしている可能性が示唆された。本結果から、刺激に適した複数のルールを選択する能力は、7歳から10歳にかけて年齢に依存して機能が向上すること、さらに右前頭極皮質の機能を同時に評価することにより、実行機能の発達度を評価しうることが示された。よって、複数ルール選択課題の正答率および前頭極におけるoxy-Hbの変化により、実行機能の発達度を評価しうる可能性がある。
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