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2021 年度 実施状況報告書

エピソード記録のための評価指標の開発-保育の質向上に繋がる「10の姿」の活用-

研究課題

研究課題/領域番号 20K02635
研究機関実践女子大学

研究代表者

井口 眞美  実践女子大学, 生活科学部, 准教授 (60550796)

研究分担者 近藤 幹生  白梅学園大学, 子ども学部, 教授 (80389981)
内山 隆  北海道教育大学, 教育学部, 教授 (40389648)
研究期間 (年度) 2020-04-01 – 2023-03-31
キーワード10の姿 / 保育の評価 / スタートカリキュラム / 保育の質 / 評価指標
研究実績の概要

保育・教育現場では、2017年改訂の保育の3法令や小学校学習指導要領に基づき、「幼児期の終わりまでに育ってほしい姿(=10の姿)」に基づいた保育・教育の実践や評価が展開されつつある。
2021年度は、こういった保育・小学校現場における「10の姿」の活用の実際と課題に関する実地調査を行った。幼稚園・保育所では、「10の姿」を活用した評価について、保育者による保育記録に基づき調査・分析を行った。また、実施済みの保育者対象の「10の姿」に関するアンケート調査の結果を分析し、その成果を論文としてまとめた。
加えて、コロナ禍における保育に特化し、「10の姿」を視点としたコロナ禍における保育の評価に関するアンケートを実施した。結果として、「10の姿」のうち『思考力の芽生え』『自然との関わり』等、これまでと同じ保育のやり方で保育の質が保障できた項目が多かった一方で、保育のやり方を変えたことで保障できた『健康な心と体』や、保障が難しかった『社会生活との関わり』の項目があるという実態も見えてきた。
更に、小学校においても実地調査を行い、入学時における「10の姿」の活用の在り方について検討・考察した。具体的には、調査対象校では、「10の姿」に基づきスタートカリキュラムを評価するため、1年生担任が、活動状況や子どもの変容、教師の関わり方に関する詳細な文章記録を書き起こした。また、1年生担任以外の教員による第三者評価も実施した。幼児期から受け継いだ「10の姿」の視点で授業実践を見直した結果、子どもの変容や指導上の配慮事項が具体的に見えてきたという成果もあった。しかし、自治体レベルで推奨されているような、「10の姿」に基づくスタートカリキュラムの評価・修正は容易ではない現状も明らかになった。この事例調査の成果に関しても、論文にまとめ公表を行った。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

コロナ禍のため、海外や国内への実地視察調査がほとんど行えなかった。
予定していた保育現場での観察調査も、感染拡大防止を理由に実施できなかった部分もあったが、対象園数を減らすことで計画はおおむね実施することができた。
2022年度は、保育・教育現場での調査数を増やすこと、国内外での実地視察、先行研究調査を少しでも実施することを目指している。

今後の研究の推進方策

2022年度には、これまでに実施した文献調査や実地調査に加え、幼稚園・保育所・小学校での実地調査数をさらに増やし、調査の信頼性を高める。その際、保育・授業の観察、保育者・教員へのインタビュー、記録や保育計画・指導計画の分析等、多角的に調査を実施し、調査の妥当性も高めていく。
コロナ禍でほとんど行えていない国内外の先行研究の現地視察に関しては、状況を見つつ極力実施したい。
これまでの実地調査を通して、コロナ禍において、保育者・教員の保育観・教育観、評価観も年々変化しつつあると感じている。アンケート調査によれば、コロナ禍での保育の変化は、それまで当たり前と考えていた内容を見直すきっかけとなったとの意見もある。2022年度は、コロナを経た「アフターコロナにおける保育」の評価の在り方についても、調査を進める必要があると考えている。引き続き、アンケート調査の結果、特に自由記述欄の内容の分析を深め、長期化するコロナ禍の保育、アフターコロナにおける保育の評価について考えていきたい。
小学校に関しては、継続研究として、2021年度1年生担任が修正したスタートカリキュラムを2022年度の1年生担任が「10の姿」と関連付けながら実践・評価するための方策を検討したいと考えている。保育・教育現場での調査に関しては、すでに複数の保育園・幼稚園・小学校から承諾を得ており、実施が始まっている。
最終的には、これらの文献調査や実地調査で得られた結果や、保育者が作成した保育記録(エピソード記録)から、0歳児から小学校1年生までの年齢ごとに「10の姿」に至るまでの具体的な子どもの姿を明らかにする。そして、年齢ごとの「10の姿」と「保育の関わり」を関連付けた、保育の評価指標を作成することを目指す。なお、研究成果は、学会発表、論文発表等の他、保育・教育現場で実際に活用できる冊子として公表する。

次年度使用額が生じた理由

2021年度には、コロナの影響で、計画していた海外(ニュージーランド等)や国内(北海道、京都、大阪等)への実地視察にほとんど赴くことができなかった。2022年度には、先行研究の実地視察に加え、研究分担者(北海道教育大学 内山隆)の研究フィールドである北海道の保育・教育施設での調査や、研究分担者(内山隆)による東京都の保育現場での調査を計画しているため、その旅費などに充てる。
また、上記の調査に本格的に着手するため、データ記録用の機器の購入も計画している。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2022 2021

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (1件)

  • [雑誌論文] スタートカリキュラムにおける 「幼児期の終わりまでに育ってほしい姿」の活用の実際と課題2022

    • 著者名/発表者名
      井口眞美、近藤幹生、内山隆、島谷亮生
    • 雑誌名

      実践女子大学教職センター年報

      巻: 第5巻 ページ: -

    • 査読あり
  • [学会発表] コロナ下の保育の現状と課題  -10の姿を切り口として-2021

    • 著者名/発表者名
      井口眞美(企画)
    • 学会等名
      日本保育学会第74回大会 自主シンポジウム

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公開日: 2022-12-28  

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