研究課題/領域番号 |
20K02636
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研究機関 | 東京家政学院大学 |
研究代表者 |
後藤 範子 東京家政学院大学, 現代生活学部, 准教授 (20352643)
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研究分担者 |
香曽我部 琢 宮城教育大学, 教育学部, 准教授 (00398497)
竹田 好美 富山国際大学, 子ども育成学部, 講師 (20469472)
石倉 卓子 富山国際大学, 子ども育成学部, 准教授 (90461855)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 狭小な園庭 / 園内研修 / 園庭評価指標 / COSMIN / システマティック・レビュー |
研究実績の概要 |
これまでの成果をもとに、狭小な園庭の保育施設でも幼児が遊びを十分に楽しみ、豊かな経験ができるような環境構成や援助を考案し、保育の資質向上を図るための「園庭評価指標1.0」を作成した。その過程の中では、次のような調査と分析、検討を行った。 第一に、広大な園庭の園と狭小な園庭の園に協力を依頼し、「園庭環境を評価する基本100項目の指標」を使って、熟達した保育者5名(経験年数20年以上)、若手保育者(経験年数5年未満)が分類を行い、ラベル付けを行った。その結果、各ラベルを大別すると「素材・環境(物)」「子どもの姿・遊び」「保育者の援助・関わり」となった。 第二に、上記の分類をもとに、COSMINのチェックリストに基づいて精査を繰り返し、41項目にまとめて「園庭評価指標1.0」を作成した。その手順としては、まず各項目の2園の熟達保育者による分類に着目して照らし合わせ、共に同じ分類と判断した項目が複数ある場合は、その中から妥当だと思われる項目を1つ抽出した。次に、熟達保育者が行った分類に、同じ組み合わせがない項目については、2園の若手保育者の分類に着目して改めて検討し、精査と抽出を繰り返した。なお、項目を抽出する際には、保育者が理解しやすいこと、汎用性が高いこと、子どもの主体性が大切にされていることを基本とした。 そして、「保育環境のどのような点に着目して保育の質と関連させながら実証しているのか」に着目した、国内外の研究991件について、システマティック・レビューを行った。その結果、子どもの認知的発達と保育環境の質との関連に着目した研究が多数で、子どもの遊びへの取り組みの姿勢との関連や、子どもの視点に立った研究はほとんど見らなかった。保育環境の質を国際レベルで論じる場合には、一定の評価指標をその国や地域の現状と照らして妥当性を検証しつつ、活用することが課題となることが考察された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2022年1月~3月の間に、研究協力園において、今年度作成した「園庭評価指標1.0」を用いた園内研修を試行することを計画していたが、新型コロナウイルス感染症の感染拡大の影響で、休園や出勤できる職員の人数の減少があり、年度内の園内研修の実施が不可能であった。
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今後の研究の推進方策 |
第一に、研究協力園で「園庭評価指標1.0」を使った園内研修を実施し、その結果をもとに「園庭評価指標1.0」の改良を繰り返し、改訂版「園庭評価指標2.0」を作成する。 第二に、狭小園庭の園を中心とした全国約150園を対象に、作成した「園庭評価指標2.0」を用いた園内研修の実施を依頼し、2022年度内の実施状況を分析しながら、更なる改訂版「園庭評価指標3.0」を作成する。このように、今後は、研究協力園で園内研修を実施し、その結果を踏まえて妥当性を検証しながら、園庭の物理的な条件ではなく、保育者の暗黙知と園庭の持っているポテンシャル(潜在的な可能性)に着目するような園内研修の在り方を探る。
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次年度使用額が生じた理由 |
2022年1月~3月にかけて、新型コロナウイルス感染症感染拡大の影響により、研究協力園での調査が滞ったため。2021年度中に実施予定であった調査を2022年度に実施する予定である。
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