研究課題/領域番号 |
20K02642
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研究機関 | 立命館大学 |
研究代表者 |
西原 陽子 立命館大学, 情報理工学部, 准教授 (70512101)
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研究分担者 |
砂山 渡 滋賀県立大学, 工学部, 教授 (40314398)
山西 良典 関西大学, 総合情報学部, 准教授 (50700522)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | ネットいじめ / セルフトーク |
研究実績の概要 |
有害投稿の指導に有効なメッセージ文の調査を行った。メッセージ文は、Greenwaldが提唱する「説得の認知反応モデル」を基とした。このモデルでは、人はメッセージを受け取ることにより有害投稿を再考するのではなく、メッセージを受け取った後に行うセルフトークにより再考するとされている。本研究で表示するメッセージ文は、子どもにセルフトークを促し、有害投稿に対する指導をする。 有害投稿として明らかな悪口が含まれる場合と、間接的な悪口が含まれる場合の2つの状況を設定し、悪口が投稿された場合に投稿の再考を促すメッセージ文を提示し、投稿の取り下げが行われるかを調査するアンケートを行った。メッセージ文は誰の立場に立って考えるセルフトークであるかを考慮し、4種類のメッセージ文を用意した。1つは自分の立場に改めて立つ、もう1つは相手の立場に立つ、もう1つは相手と第三者の立場に立つ、もう1つは全員の立場に立つとした。比較対象として禁止メッセージを用意し、セルフトークメッセージとの比較を行った。また、メッセージを提示する際に、悪口の部分をシステム側から指摘する場合としない場合でも比較を行った。 調査の結果、セルフトークメッセージの方が禁止メッセージよりも投稿の再考に与える影響が大きいことがわかった。具体的には相手の立場に立って考えさせるメッセージの効果が最も高かった。また、明らかな悪口に対しては、悪口の部分を具体的に指摘することで投稿の再考を促す効果が高いことがわかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画通りに進展しているため。
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今後の研究の推進方策 |
当初の研究計画にしたがって研究を進める。具体的には間接的な有害表現の判定、有害部分の指摘効果の調査、発達段階に応じた指導インタラクション設計を進める。間接的な有害表現の判定では複数のテキストコーパスの特徴を学習させ、与えられたメッセージにおける各コーパスの度合いを評価し、間接的な有害表現の有無を判定する。有害部分の指摘効果の調査では、有害表現を指摘することによる取り下げ効果について調査を行う。発達段階に応じた指導インタラクション設計では、年齢や性格の違いに応じて適切な指導インタラクションについて調査を行う。スポーツのコーチングや情報モラルに関する文献を参照し、若い世代にとって有効かつ真に意味のある情報システムの設計を進める。
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次年度使用額が生じた理由 |
旅費予算の使用が減ったため次年度使用額が生じた。今年度は旅費を計画的に執行し、研究計画通りに研究を進める。
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