研究課題/領域番号 |
20K02643
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研究機関 | 神戸松蔭女子学院大学 |
研究代表者 |
寺見 陽子 神戸松蔭女子学院大学, 教育学部, 教授 (20163925)
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研究分担者 |
北野 幸子 神戸大学, 人間発達環境学研究科, 准教授 (90309667)
林 悠子 神戸松蔭女子学院大学, 教育学部, 准教授 (90584483)
小椋 たみ子 大阪総合保育大学, 児童保育学部, 教授 (60031720)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 乳児保育の実態 / 家庭連携の実態 / 乳児の保育の内容 / 家庭連携プログラム / 乳児保育の質 / 家庭養育の質 |
研究実績の概要 |
本研究の最終目的は、保護者を巻き込んだ乳児保育のプログラムの開発である。そのために、1年目は、海外におけるプログラムの実態調査をすることが目的であった。しかしながらコロナ禍により、海外調査は断念せざるを得ず、主に、日本における乳児保育の歴史と、今日の社会における乳児保育の実態並びに保護者や家庭との連携の実態を明らかにすることを目的とした。まず、乳児保育が、保育所のような施設保育として位置づけられてきた経緯と、保育の内容の歴史的展開を研究した。また、大規模に実施する予定である実態調査の項目づくりのための文献研究と、それをもとにしたプレ調査を実施した。 日本の保育施設における乳児保育の取り組みの歴史は浅く、その保育の内容は、「ガイドライン」として、保育所保育指針に示されはいたが、公的な基準となったのは平成元年につづく平成10年の保育保育指針の改定とその告示化による。これまでの、乳児の保育における保護者や家庭との連携は、乳児の保護と養護面で適切な対応が求められる点で重要視されてきた。しかし、発達を援助する保育の内容にかかわる連携は余り触れられていない。そこで、プレ調査として、今日の乳児クラスでは保護者との連携がどのように行われているか、乳児保育担当者を対象に実態を探った。その結果、主に「お便り」による連携が中心であった。保育参加や参観、保育体験等も行われていたが、それらは園の子どもの姿を保護者に伝える目的で行われ、保護者と連携して保育を考えるといった積極的な意味合いは希薄であった。また、乳児の保育内容を保護者とともに考えるような機会は設けられていなかった。 こうした結果と先行研究における実態調査を参考にしながら、乳児保育における保護者・家庭との連携に関する実態調査項目を施設・保育者用と保護者用に分けて、原案を作成した。また、事後のインタビュー調査の項目内容を作成した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
新型コロナウィルスによる海外研究の実施不能のため
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今後の研究の推進方策 |
2020年度に作成したアンケート調査を実施し、乳児の保育の内容並びに乳児保育の質を高める家庭との連携の在り方とその課題並びに家庭養育の質の向上を図るための課題を明らかにする。このアンケート調査結果を踏まえ、保育施設と保護者へのインタビュー調査を実施し、乳児の保育における保護者・家庭との連携プログラムの開発を考える具体的な視点を明らかにしていく。さらに、海外における乳児の保育とそのプログラムに関する調査と現地保育者へのインタビュー調査を実施する。 調査対象としているところは、乳児保育に先駆的に取り組んでいるイギリス、子どもの貧困対策とヘッドスタートに取り組むアメリカ、保護者の子育て支援とともに子どもの保育を考えるニュージーランド・オーストラリア、アジア圏の中国・台湾を考えている。海外では、保育のプログラム開発は、保育の質を高めるための評価、それを実践する保育者の質の向上並びに保育者養成と合わせて取り組まれている(例えばアメリカ・コロラド州)。そこで、今後は保育者育成を踏まえた、保育者とともに乳児保育の評価の在り方も視野に入れ、海外調査に取り組む予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウィルスの感染拡大のため、海外出張ができなかった。2021年度は、新型コロナウィルス感染拡大が収束すれば、イギリス、アメリカ、オーストラリア、ニュージーランド、中国、台湾での調査を実施する予定である。
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